金沢市が施設老朽化の解消や質の高い医療サービスの提供を目指し構想する金沢市立病院(平和町3丁目)の再整備。しかし、昨年来の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、調査や検討作業が進まない状況にある。再整備にあたっては、コロナを見据えた対応を踏まえておらず、今後、内容を再検証する可能性が出てきた。
再整備に向けては今年度、次期病院の立地場所や周辺病院との機能連携・分化などの調査、検討作業を進める予定だったが、病院側ではコロナへの対応に手を取られ、そうした作業を進めることができなかった。
再整備を巡っては、昨年2月に市立病院の今後あり方検討会(座長・金子周一金沢大学医学系教授)が次期病院に必要な機能などをまとめ提言。診療報酬の引き下げなどで赤字経営が続くことから早急な経営改善が必要とし、地域に必要な病院機能を確保した再整備を求めた。その上で、現行の医療分野をすべて担うのではなく、周辺病院との役割分担や機能連携・分化を図るべきとした。
建て替えについては、平和町の現在地で行う場合は高さ制限があるため、現状の規模を維持した改築は困難とし、市南部や南部近郊地区での新たな適地の検討を要望。さらに、基本構想の策定から概ね10年以内の完成を目指すべきと指摘した。
しかし、提言を受けた時はコロナがまだ蔓延しておらず、コロナ対応を見据えた内容は盛り込まれなかった。病院側は再検証について、「コロナを踏まえた国の地域医療構想の見直しを受けて判断していくことになるだろう。コロナの状況にもよるが、調査は継続して行っていくつもり」とコメントしている。
現在の市立病院は、1988年に竣工した本館(S一部SRC造地下1階地上6階建て1万8070平方メートル)と89年に完成した別館(S造5階建て1255平方メートル)、99年に使用開始した東館(S造3階建て3079平方メートル)の3棟で構成。敷地面積は1万6417平方メートル。施設は老朽化に伴う設備の機能低下などが懸念されている。