香川県土木部はICT施工のさらなる普及・促進に向け、ICT活用工事への新たな工種追加の検討を行うとともに、現場技術員を対象とした施工技術の向上や、監督員を対象としたスキルアップなどの取り組みを進める考え。
県では18年4月にICT活用工事試行要領を策定し、土木一式工事で試行を開始。19年度には対象にICT舗装工を、20年度はICT土工に「砂防土工」を追加。当初は@3次元起工測量A3次元設計データ作成BICT建設機械による施工C3次元出来形管理等の施工管理D3次元データの納品―を全面的に活用することを求めていたが、20年度からは一部(BかD)の段階でも活用すれば認めるよう要件を拡大。18年度に2件だった試行件数は、19年度は8件、20年度は10件に増加している。
受注者に実施しているアンケート調査では、3次元起工測量で「現況測量の省力化」「面的地形の3Dデータを活用した詳細・正確な設計照査」、3次元設計データ作成で「設計照査の効率化」「ICT建設機械を制御するための3次元設計データ作成作業の効率化」、ICT建設機械による施工で「施工の効率化」「丁張設置作業の省略・軽減」、3次元出来形管理等の施工管理で「出来形計測作業の効率化」「実地検査用の出来形の書類削減」などが効果として挙がっている。
一方、3次元起工測量では「UAVが雨天時に飛行できないため施工管理が難しい」、3次元設計データ作成では「曲線部が多くデータ作成に手間取った」「横断図以外の変化点の計算に時間を要した」、ICT建設機械による施工では「建設機会の価格が高い」、3次元出来形管理等の施工管理では「従来手法よりも費用が掛かる」「実情を踏まえると別途(費用)計上してほしい」といった要望も出ている。
県では、こうした効果や改善要望も踏まえつつ、「コロナ禍でも業務を推進する上で有効」だと判断。さらなるICT施工の普及・促進に向け、新たなICT活用工事の工種追加を検討するとともに、施工中の現場を活用した見学会などを継続しながら、現場技術者を対象とした施工技術の向上、監督員のスキルアップに取り組みを進める。
提供:建通新聞社