建通新聞社(東京)
2021/01/29
【東京】都調査 中小企業の設備投資5期連続減
東京都内の中小企業で、設備投資への慎重な姿勢が続いている。都が実施している景況調査によると、四半期平均の設備投資の動向は、2020年10〜12月に設備投資を「実施した」割合は全体で17・5%となり、前期(20年7〜9月)の18・2%から減少した。5期連続のマイナスとなる。この先どう転ぶか分からない経済・景気動向を不安視する声が多い。来期(1〜3月)の設備投資の実施予定は16・7%で、やや減少する見込みだ。
業種別に見ると、設備投資を「実施した」割合は小売業11・8%(前期13・1%)、サービス業21・3%(同22・5%)、製造業20・6%(同21・0%)といずれも減少。卸売業は15・0%を維持し、横ばいとなった。
感染症の流行下で経営や事業活動において不安に感じていることは「先行きの不透明さ」が82・7%で最も高い。今後の事業展開は、「現状維持」が43・2%でトップ。次いで、「既存事業領域に専念し、さらに拡充」が23・4%、「既存領域に加え、新たな事業領域に進出」が13・2%の順で続いた。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経営や事業活動への影響を全体で見ると、「影響あり」が75・7%を占めて高止まりが続いている。19年12月と比較した20年12月の売上高を聞くと、「減少」が90・3%だった。
建設業関連では、帝国データバンクが20年12月に公表した主要上場建設企業の受注・業績動向調査で、20年度第2四半期の民間工事の受注高が前年同期比20・3%の大幅減となった。工事の中断や延期、計画の見直しが影響したと分析している。
直接的な影響だけでなく、間接的な影響も増えてきている。都の調査では、警備業の企業から「クライアント自身が不況とのことで、仕事が回ってこない」との意見が上がった。また、営業時間短縮の要請で打撃を受けている飲食店を巡っては、建具製造業から「売り上げの7割が飲食店などの仕事だったが、感染症の影響で全て延期または中止になった」という声もある。
また、「納期の長い商品を手掛けているため、感染症の影響はこれからなので不安」(情報通信機器製造業)など、中長期の売り上げや利益の目標設定に苦慮する企業の姿が浮き彫りとなった。
提供:建通新聞社