不動産経済研究所がまとめた2020年の近畿圏分譲マンション市場動向によると、20年の1年間に近畿圏で発売された民間分譲マンションは1万5195戸で、前年(1万8042戸)に比べ15・8%減少した。新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言下でのモデルルームの閉鎖などが影響した。月間契約率は71・7%となり、前年と比べ2・4ポイントダウンしたものの、好調の目安となる70%台をキープした。
地域別の発売戸数と対前年比の増減率は▽大阪市部が5915戸で34・2%減▽大阪府下が3173戸で18・9%減▽神戸市部が1436戸で16・8%減▽兵庫県下が1967戸で16・8%増▽京都市部が1038戸で31・7%増▽京都府下が346戸で1472・7%増▽奈良県が524戸で231・6%増▽滋賀県が607戸で12・2%減▽和歌山県が189戸で177・9%増―となった。
30%以上減少した大阪市を中心に都市部では発売戸数が減少しているのに対し、郊外エリアでは増加が目立った。コロナ禍でのテレワークの拡大なども踏まえ、都心部を避け、郊外物件の人気が高まったことで、デベロッパー各社は外周部の新規発売に力を注いだ姿が見られた。インバウンド需要がなくなった都心部のタワーマンションでは、売れ行きが大きく落ち込んだ物件もあり、底堅い需要はあるものの、人気の回復には時間がかかりそうだ。
1戸当たりの平均価格は4181万円で前年(3866万円)と比べ8・1%アップ、3年連続のアップとなった。1平方b当たりの単価は69万1000円で、前年(68万円)比1・6%アップし、8年連続でアップした。
20年12月末現在の継続販売戸数は3595戸で、19年末の2820戸に比べ775戸増加し、2年ぶりに増加した。
21年の発売戸数は前年比18・5%の大幅増となる1万8000戸程度を見込んでいる。不動産経済研究所の笹原雪恵大阪事務所長は「コロナウイルスの状況次第で発売戸数は変動するだろう」と予想する。
提供:建通新聞社