霧島市は、建て替えに向けて基本設計が進む医師会医療センターの本体工事に県内自治体で初めてECI方式を採用する方針を固めた。施工者が設計段階から技術協力することで、コスト縮減や工期短縮などが期待できる手法。施工(予定)者は公募型プロポーザルで選定し、7月にも実施要領を公告する。新病棟の計画規模はS造6階建約2万3200u。病床数は254床を確保し、工事費は約135億円(解体、医療機器等は別)を見込む。
建設場所は隼人町松永。築30年以上が経過した既存建物の老朽化や狭あい化を受け、敷地西側の空き地に現在の外来管理治療棟や病棟、サービス棟の機能をまとめた新病棟を整備する。既存の手術室棟(RC造2階建1466u)は改修して活用する計画だ。
事業は現在、久米設計で基本設計を進めており、3月25日までに完了する予定。実施設計は4月以降の随意契約を視野に入れる。
本体発注に当たって、市では病院建設の特殊性や必要な技術力を考慮し、施工者が設計段階から参画するECI方式の採用を決定。プロポの実施要領は7月をめどに公告し、11月ごろの業者選定を目指す。選ばれた企業は基本協定を締結後、約9カ月にわたって技術協力を行い、2022年9月をめどに随契を経て着工する。
工期は現時点で25カ月(24年9月まで)を想定しているが、ECI方式の採用によって短縮できる可能性もある。開院は25年1月を予定し、そのあと約3カ月かけて既存の手術棟を改修する。
市では「隣接する既存病院を運営しながらの施工が求められ、現場では複数の土木や建築工事等が錯綜(さくそう)する。安全かつ短期間で工事を完成させるための手法を各面から検討した結果、ECI方式で行う方針が固まった」(建築住宅課)としている。
既存病院の解体は、新病院への移転が整い次第、着手する見通し。外構にはヘリポートも設ける計画がある。
■解説
ECI…「Early Contractor Involvement(アーリー・コントラクター・インボルブメント)の略。施工者が設計段階から参画し、技術協力を行う手法。独自の技術力やノウハウを活用することで、建設コストの縮減や工期短縮などが期待できる。
県内では近年、民間工事の大勝病院新築(鹿児島市)で採用。隣県では、宮崎市郡医師会病院の移転建て替えでも取り入れられた。