神奈川県内広域水道企業団が公表した2021年度予算案(概要)によると、予算規模は前年度比5・7%減の649億2121万円。一般建設改良費を16・7%減の81億0100万円、修繕費を25・8%増の24億6140万円とし、浄水場増強と送水管整備や、自然災害に備えた対策などに取り組むとしている。新規事業としては相模原浄水場の増強基本設計、飯泉ポンプ場の浸水対策などがある。
かながわ広域水道ビジョン(21年度からおおむね30年間)と実施計画(21〜25年度)の初年度に当たるため、これらの実現に向けた着実なスタートを切るための予算とした。施設整備では、「浄水場の増強と送水管路等の整備」「効率的な点検と計画的な修繕・更新」「自然災害や事故に備えた対策」に重点配分する。
浄水場増強と送水管路等整備には1億1752万円を計上し、相模原浄水場増強基本設計の他、綾瀬浄水場増強基礎調査を予定している。将来の構成団体浄水場の廃止を見据え、企業団浄水場の増強に向けた検討を開始するもの。
効率的点検と計画的な修繕・更新には67億1091万円を充てる。このうちの42億1447万円が新規事業の綾瀬浄水場沈殿池排泥弁の更新など。21年度に開始する事業としてはまた、送水管更新の基本検討・設計を挙げている。対象は「相模原〜当麻」「上鶴間〜下鶴間」「上粕屋〜南金目」の3路線で、予算額は合計で3200万円。
自然災害や事故に備えた対策では、飯泉ポンプ場ポンプ搬入口浸水対策、非常用発電設備地下燃料タンクの増設検討、相模原ポンプ場導水ポンプ設備更新、浄水施設覆蓋化の基本検討にそれぞれ着手。これらに継続事業を含めた予算額は2億9739万円。綾瀬浄水場調整池や西長沢調整池など、送水施設と排水処理施設の耐震補強には15億6446万円を充てる。
この他の事業は以下の通り(▼は新規)。
▽三保ダム・宮ケ瀬ダム、飯泉取水堰・相模大堰の堆砂対策―7億9035万円
▼浄水処理実験装置設置―6600万円
▽相模原浄水場排水処理施設、綾瀬浄水場排水処理施設の乾燥工程廃止―5億2160万円
▽西長沢浄水場排水処理脱水機修繕他―24億5300万円
▼相模原浄水場排水処理設備の増設基本設計―1760万円
▼飯泉ポンプ場沈砂池への第3桟橋設置―2億4658万円
▼給水地点などへの監視カメラ設置―1億0340万円
提供:建通新聞社