国土交通省は1月22日、東京圏の今後の地下鉄ネットワークの在り方に関する有識者会議の初会合を開く。東京都の小池百合子知事は会議を前に赤羽一嘉国土交通相とのテレビ会議を実施し、延伸の検討を進めている東京8号線(有楽町線)について「東京メトロによる整備が合理的だ」との考えを改めて示すとともに、国と都が保有する東京メトロの株式売却をめぐっては、公共的役割を勘案して検討するよう求めた。
国交省は、交通政策審議会の下に新たに「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会」(委員長・屋井鉄雄東京工業大学副学長、環境・社会理工学院教授)を創設し、初会合を開く。
小委員会では、2016年の交通政策審議会の答申を踏まえつつ、東京圏における今後の地下鉄ネットワークの在り方について議論する。その上で、東京メトロの株式が27年度末に売却期限を迎えることから、東京メトロの果たすべき役割と株式売却の考え方について方向性を探る。現時点では、東京メトロ株式の売却益については東日本大震災の復興財源に充てることを復興財源確保法で定めている。
都内の地下鉄ネットワークをめぐっては、東京8号線の延伸について、整備主体や整備費の負担で着地点が見いだせていない現状がある。同線は、東京メトロ・ゆりかもめの豊洲駅と、東京メトロ・都営地下鉄の住吉駅を結ぶ延長約5・2`で検討されている。南北方向を結ぶ新たな交通手段として利便性を高めるとともに、東西線など既存路線のラッシュ時の混雑緩和や地域活性化につなげる狙い。
ただ、東京メトロは、有価証券報告書で「新線の建設を行わない」との方針を示している。一方、都は、同路線は東京メトロの二つの路線間を結ぶもので、両端の豊洲駅と住吉駅間は乗り入れ可能なことから「東京メトロが整備するのが合理的」との姿勢を崩していない。
小池知事は赤羽国交相に対し、東京8号線の延伸に向けた課題解決に加え、都心部・臨海地域地下鉄構想と、都心部・品川地域地下鉄構想についても審議会で検討するよう求めた。
提供:建通新聞社