県は2021年度、受注者希望型で試行を進めるICT活用工事の対象工種に、舗装工と法面工を追加する方針だ。現行の土工に加えて対象案件を増やすことで、伸び悩んでいる実施件数の増加につなげていきたい考え。併せて、5段階の施工プロセス全てに求めていた定義を緩和し、部分的な実施でも設計変更が可能となる仕組みを検討する。
県土木部が試行するICT活用工事は18年2月から、土工量1000m3以上かつ予定価格3000万円以上の一般土木案件(河川・道路・砂防・海岸、災害復旧は除く)を対象に実施。取り組みは受注者の判断とし、希望する場合は工事打合簿で計画書と内容等が確認できる資料を発注者に提出してから行う。
ICT活用工事に定義付ける施工プロセスは、@3次元起工測量A3次元設計データ作成BICT建設機械による施工C3次元出来形管理等の施工管理D3次元データの納品−の5段階。この全プロセスでの対応を求めている。
実施した現場は、工事成績評定(創意工夫)で加点されるが、試行を始めて約3年が経った今でも施工実績は伸び悩んでいる状況。この現状や国の動きを踏まえ、県は21年度から対象工種の拡大や設計変更の適用緩和に踏み切る方針だ。
対象工種は、現行の土工に加えて、新たに舗装工(路盤工)と法面工を加える見通し。技術管理室では「まずは分母(対象工事)を増やすことで、実施件数の増加につなげていきたい」としている。
設計変更の適用緩和は、全ての施工プロセス(5段階)で求めていた従来の定義を見直し、部分的な実施でも変更可能とする仕組みにしたい考え。これによって、初期投資が足かせになっていたICT建機による施工がなくても対応できる可能性が生まれてくる。
県では今後、業界の声も踏まえて詳細を詰める構え。地域建設業が望む「大きな投資はなくとも効果が実感できる生産性向上」を念頭に置いた制度設計を期待したい。