日本工業経済新聞社(群馬)
2021/01/20
【群馬】県林政課が森林経営管理制度の進捗示す
県林政課は森林経営管理制度について、2020年度末までに前橋市など19市町村が森林所有者に向けた意向調査を行う見込みであることを示した。19年度から前橋市や富岡市など8市町村が増加。林業経営者に経営管理を委託する、経営管理実施権配分計画については、年度内に2自治体が経営管理実施権配分計画の契約を行う見通しで、21年度から林業経営に移ることが見込まれる。今後も各地で意向調査が進み、森林整備の体制が築かれることとなる。
同制度は、森林が少ない市町村を除いた26市町村で実施を予定。森林所有者に直接管理をする意向があるかを調査し、できない場合に林業経営が適した森林については所有者と自治体で森林経営管理権集積計画で管理委託の契約を行う。その後、自治体と登録した林業経営者で経営管理実施権配分計画を締結し、林業経営に移る流れ。また、森林経営に適さない場所の場合は市町村が森林整備を行うこととなる。同制度の活用により、効率的な森林整備を図るねらい。制度の進捗により各種調査委託やさらなる効率的な林業経営のため森林整備なども見込まれる。
20年度に意向調査へ着手したのは◇前橋市◇桐生市◇富岡市◇下仁田町◇甘楽町◇長野原町◇高山村◇片品村−の8市町村。各市町村は全森林を一斉に調査をするのではなく、順次実施している。未着手な箇所も含め35年度までの調査終了を目指す。
調査は自治体直営、業務委託により行っている。森林境界が不透明など課題があり、県も航空写真やレーザー測量による調査情報を個別で提供するなど支援を行っている。
所有者が自治体に対して管理委託を行う森林経営管理権集積計画は20年度までに高崎市のほか◇沼田市◇渋川市◇安中市◇甘楽町◇中之条町◇長野原町◇嬬恋村◇高山村◇川場村−が契約を予定している。
実際の経営を林業経営者に委託する経営管理実施権配分計画は20年度中に2自治体が契約締結の見込み。林業経営者については現在51者が登録しており、21年度から実際の林業経営への着手が見込まれる。
総務省は、同制度での活用が可能な森林環境譲与税の交付額について、森林整備の推進を目的に譲与額を倍増させている。県内は19年度3億2249万9000円に対して20年度6億4503万9000円の見込みとなる。その後も毎年度交付を行い、24年度以降は県と市町村で10億円の交付となる。
経営に不向きで、林業経営者に委託しない条件不利地については同譲与税などを活用して各自治体が管理を予定。市町村での管理が難しい場合などについては、ぐんま緑の県民基金事業として県が行うことも可能となっている。