石川県建築士会青年委員会(委員長・橘裕之橘建設常務取締役)は、子どもたちに建物を造る仕事に興味を持ってもらおうと、全国の建築士会で初めて、オリジナルの絵本を制作、発刊した。昨年末には、そのお披露目として、金沢市の伏見幼稚園で園児への読み聞かせ会を開いた。
これまで、大学生や高校生を対象に行ってきた建築業の魅力を伝える活動について、年齢層を下げ、もっと小さい頃から建築物に親しみを覚えてもらい、建物を造ることの楽しさ、魅力を知ってもらう方法として、絵本作りを企画した。
絵本の制作は一昨年5月頃から取り掛かり、青年委員会が企画、設計事務所や施工会社に勤める14名が物語を考えた。絵本の作り方についての講習を受講したり、幼稚園の教諭にアドバイスを受けたりしながら作業を進めた。絵本の要となるイラストは、一般からプロ、アマ問わず公募し、その中から選ばれた金沢市内在住で企業に勤めるOLの女性が手掛け、青年委員会実行委員会が監修した。
絵本のタイトルは「おばあちゃんのまちや」で、ストーリーは金澤町家を舞台に、少年がおばあちゃんの住む家でかくれんぼをしている間に、様々な妖怪に出会うという話。登場するのは、「ぬりかべ」など建築物に関係のある妖怪たちで、少年と妖怪との触れ合いの中で、伝統的な建築、工法が紹介され、少年が古い建築物に愛着を持つようになっていく構成だ。
絵本の完成後、初の読み聞かせ会が昨年12月23日、金沢市の伏見幼稚園で開かれた。青年委員会から3名が出席。ナレーションのプロの女性が園児、職員を前に、絵本のページを順に開きながら朗読を行い、子どもたちは目を輝かせながら聞き入っていた。
青年委員会では、現在のコロナ禍が落ち着けば、県内の幼稚園や保育所などからの希望に応じて、今後も読み聞かせ会を行うとしている。
同時に、第2作目、第3作目の絵本制作の企画も練っている。橘委員長は「例えば、次は近代的なビルを舞台にするとか、アイデアは一杯持っている。1作目が好評ならば、2、3作目を作り、建物の良さ、造る楽しさを子どもたちに伝えていきたい」と意気込む。
また、同じ内容のデジタル絵本も制作した。ユーチューブにアップされており、QRコードを利用して無料で見ることができる。ナレーションのプロが語りを担当している。
紙の絵本のサイズは25センチ×25センチで、開くと幅50センチになる。500部制作し、希望する施設に対しては、1施設につき1冊を無料進呈する。県建築士会のホームページから申し込みができる。一般の希望者は県建築士会事務局(電話076―244―2241)へ申し込めば、1冊1000円(送料別)で入手できる。