京都府は14日、再生可能エネルギーの導入等促進プラン(第2期)の最終案を明らかにした。
同プランの計画期間は2021年度(令和3年度)から2025年度(令和7年度)までの5年間。
府内の再エネの電源種別の発電電力量が最も多いのは全体の5割弱を占める水力発電で、次いで多い太陽光発電と合わせると全体の約9割に達する。風力発電はほとんど導入されていないなど再エネの安定供給の観点からも電源種の偏りが課題。
府内総電力需要量に対する府内の再エネ設備の発電電力量の割合をみると、▽2014年度(平成26年度)…6・5%▽2015年度(平成27年度)…8・0%▽2016年度(平成28年度)…8・0%▽2017年度(平成29年度)…8・8%▽2018年度(平成30年度)…9・1%▽2019年度(平成31年度・令和元年度)…9・4%と推移。
同プランでは新たな目標値を設定した《=表1》。また電源種別の導入目標《=表2》を掲げた。
目標達成に向け、@再生可能エネルギーの導入加速A再生可能エネルギーの需要創出B地域共生型の再生可能エネルギー事業の普及促進C2030年(令和12年)以降を見据えたイノベーション・担い手育成の4つの観点から施策を推進する。
主な取組内容をみると、@再生可能エネルギーの導入加速では(施策1)▽建築物への太陽光・蓄電池等導入支援(補助金、税の減免、低金利融資等)[一部条例]▽初期投資ゼロモデルの普及促進(実施事業者の登録・補助制度等)▽建築士による再エネ導入に係る情報提供の義務化[条例]▽増築・改修等に合わせた既築住宅への太陽光発電設備の導入支援▽自家消費型ソーラーカーポート等の新規技術を活用した自家消費型システムの導入支援▽太陽光発電設備の適正な維持管理の促進▽熱需要の多い福祉施設等への太陽熱利用システムの導入支援、(施策2)▽耕作放棄地への太陽光発電設備の導入や農業振興につながるソーラーシェアリングの推進▽農家等による維持管理コストの負担軽減に資するため池等の浮体式太陽光導入に係る調査、(施策3[ウィンドファームの導水推進])▽事業計画者による地域住民への適切な情報共有を通じた信頼関係の構築を促す取組▽(環境や景観に配慮した)事業計画の事前調査(風況調査等)の支援、(施策4)▽地域住民と協働して小水力などの再エネ設備を導入する団体(NPO法人等)への支援[条例]▽多様な用途に応じた品質の府内産木材の安定供給による電気・熱の地域供給の促進▽廃棄物・下水汚泥等の未利用資源の循環利用の促進、A再生可能エネルギーの需要創出では(施策1)▽再エネ100宣言団体(RE100、RE Action)と連携した啓発活動(業種単位は大学等を想定)▽特定事業者への再エネ利用等の基準設定及び再エネ導入状況等報告書制度の創設[条例]▽再エネを率先利用する企業の評価制度等の創設、(施策2)▽(価格交渉力の低い)小規模事業所や府民による共同購入の仕組みの提供▽卒FIT電気の買取等を活用した地産地消の促進▽府民・府内企業向けへの再エネ(100%)メニュー等の選択肢の情報提供▽府内の再エネの供給の担い手となる地域新電力の支援▽府内の再エネと府内企業の直接取引促進(オフサイトコーポレートPPAのマッチング等)▽産地証明(トレーサビリティ証明)等による京都産電源の価値向上の取組、(施策3)▽府営水力発電所(大野発電所)を活用した府内の再エネ需要の喚起▽府庁舎や京都府イベント等における再エネ電気の購入を通じた啓発、B地域共生型の再生可能エネルギー事業の普及促進では(施策1)▽太陽光発電・風力発電事業における地域住民との信頼関係の構築(適切な情報共有など)や環境調和を促す取組▽地域と共生する再エネ事業の認定制度の創設▽地域協働で再エネ設備等の導入を図るNPO法人等への計画認定・税制優遇制度[条例]▽雇用創出等の地域経済付加価値の向上をもたらす地域新電力の取組支援、(施策2)▽自立的地域活用再エネ導入等計画認定制度による災害時の地域への電力供給の推進[条例]▽災害時に地域の再エネを地域住民に開放する仕組みづくり(条例規定)とそうした電源(地域の給電ステーション)の周知や支援▽地域の災害レジリエンス向上を実現する地域マイクログリッドの実装支援▽地域の再エネと電気自動車等を活用した災害に強いまちづくの構築、(施策3)▽太陽光発電設備の設置・運用・メンテナンス・廃棄ガイドラインの普及・浸透▽府内の太陽光発電保守点検事業者データベースの拡充等による保守点検の促進▽府内の太陽光発電設備(事業用)のメンテナンス実施状況の見える化▽中小・ベンチャー企業等の太陽光発電設備の長期安定電源化に資する技術開発等の支援▽府内における太陽光パネルの脱炭素型資源循環システムのプラットフォーム構築▽再エネ設備の資源循環に対する府民・府内企業の意識醸成(前項プラットフォーム活用)▽産業分野における資源循環の推進によるサプライチェーン全体でのRE100の取組の推進、C2030年(令和12年)以降を見据えたイノベーション・担い手育成では(施策1)▽スマート社会の実現に資する府内中小企業等の技術開発・実証事業等の支援▽中小・ベンチャー企業等の太陽光発電設備の長期安定電源化に特化した技術開発等の支援▽分散型エネルギーシステムにおける次世代技術(蓄電技術、バーチャルパワープラント等)のインフラ構築に向けた実証▽府内産再エネ電気の地産照明の実証▽地域資源を活用した水素エネルギーの需要拡大と地域課題解決に資する実証、(施策2)▽再エネの導入・利用促進を含む持続可能な社会の創り手の育成▽地域の再エネ施設は地域の拠点を活用した次代を担う子どもたちへの環境教育の推進▽地域完結型の再エネビジネスの推進(地域の保守点検事業者の創出等)▽大学生・留学生等と連携した再エネ利用の推進。
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