東京都建設局は、「第2次都立動物園マスタープラン」を策定した。計画期間は2021〜30年度の10年間。恩賜上野動物園と多摩動物公園、葛西臨海水族園、井の頭自然文化園、大島公園動物園の5園について、将来の目指す姿と取り組みの方向性を示した。施設整備に関しては、老朽化や防疫対策、アニマルウェルフェア(動物福祉)を考慮する必要があると指摘。よりよい展示を実現するために、改修のタイミングなどに合わせて施設の在り方や整備の方向性を検討する必要があるとした。
マスタープランでは、都立動物園の目指す姿を▽魅せる(レクリエーション)▽伝える(環境学習)▽守る(種の保存)▽極める(調査・研究)―の4点と定めた。これらを実現するために、動物舎の更新や老朽化に伴う改修を進める。
新たな施設を整備したり、既存施設を改修・改築する場合には、動物園や水族館という施設の特殊性を踏まえつつ、アニマルウェルフェアの向上や、飼育管理の効率化、来園者の視点に立った観覧環境、植栽などに考慮することを明記した。
緑に関しては、動物園を動物本来の生息環境に近づけるための植栽改善、園内に自生する野草の保全、由緒ある樹木の保護・再生、景観向上を目指した植物管理などを進め、展示の魅力向上につなげる。
施設内ではユニバーサルデザインに配慮する。階段への手摺りやスロープの設置、園路の段差解消、サインや解説ラベルの多言語表示など、多様な来園者がストレスなく利用できる施設の整備や、トイレの洋式化、ベンチの改修など、快適な利用に向けた施設の改善を来園者目線に立って充実させる。
対象施設のうち、葛西臨海水族園については、開園後30年が経過し老朽化が進んでいるため、新たな施設を建設して既存施設の水族園機能を移す。これに向け、10月に「葛西臨海水族園の更新に向けた事業計画」を策定。新たな建物の整備と維持管理にはPFI―BTO方式を、飼育展示や調査・研究などの業務には指定管理者制度を採用することを決めた。
20〜21年度に事業者の選定手続きを進め、22〜26年度に設計・工事、開園準備を実施。26年度中の開園を目指す。
提供:建通新聞社