トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(神奈川)
2020/11/25

【神奈川】川崎市 廃棄物発電に民間参加意欲

 川崎市は、廃棄物発電の有効活用方策についてのサウンディング調査結果をまとめた。それによると、電力市場における廃棄物発電の魅力を感じ、複数の事業者から事業への参加意思が示された。特に市域内に賦存している再生可能エネルギーのポテンシャルを生かすこと、廃棄物発電をきっけとして、民間事業者と連携し、地域エネルギー事業スキームを構築することが重要であると再認識することができたという。今後もさまざまな意見を聞きながら、基本方針案を策定していく考えだ。
 川崎市では、採用する事業スキームの案を盛り込んだ基本方針案を2020年度中に取りまとめ、パブリックコメント手続きを実施する。21年度には正式に基本方針を策定し、公表。21年度から22年度にかけて基本方針に基づく調整を行い、23年度に事業を開始する予定だ。
 全国各地では、廃棄物発電によるバイオマス発電や太陽光発電など再生可能エネルギーを活用した新たな電力小売事業が開始されるなど、地域特性に合わせた特徴あるさまざまな事業が実施されている。川崎市でも、「自己託送制度」を活用し、浮島処理センターで発電した電力の一部を廃棄物関連11施設と第3庁舎へ送電し、エネルギーの地産地消を図っている。23年度に竣工予定の橘処理センターでは高効率ごみ発電を導入するため、発電能力が増加し、年間で約120GWh(一般家庭2万7200世帯の年間電気使用量に相当)の売電量が見込めることから廃棄物発電の有効活用に向けて調査・検討を行っている。
 今回のサウンディング調査は、事業スキームなどの選定に向けた条件整理に役立てるため、対話型で実施。発電事業者、小売り電気事業者、金融機関など11社が参加し、多数の事業者が参加の意思、または参加可能性ありと表明した。
 参加条件としては、▽三つの廃棄物処理施設の売電量をまとめて取り扱うこと▽スケールメリットを生かし、全体の供給バランスを調整すること▽市場環境が悪化した場合でも収益が確保できる事業設計であること―などが挙げられ、募集要件については、他都市での需給実績だけでなく、電力引き取り料を確認し、今回の電力量を取り扱えるだけの事業規模があることを考慮するよう要望した。また民間の資金や経営能力、技術的能力を最大限活用した事業スキームについて聞いたところ、▽自治体新電力の設立▽電力小売りと自己託送を組み合わせた事業展開▽地域全体のまちづくりを含めた脱炭素化社会の実現▽廃棄物発電に市内の再エネ電源、水素やVPPなどを組み合わせ、エネルギーマネジメントによるレジリエンスの強化▽廃棄物処理施設の運用最適化による発電能力の向上▽民間事業者の再エネ電源との連携―が提案された。
 市は、サウンディング調査の結果から、民間事業者と連携し、地域エネルギー事業スキームを構築することは、民間事業者の再エネ電源との連携や、地域全体のまちづくりを含めた脱炭素社会の実現に大きく貢献できるとの提案があったことから、廃棄物発電の有効活用に向けた基本方針策定の参考にしたいとしている。

提供:建通新聞社