滋賀県はこのほど、甲賀市が事業計画している「紫香楽宮跡史跡整備」を事業認定した。これを受け、甲賀市は9月頃から開始している用地取得を更に進め、来年度からの基本・実施設計、22年度からの施設等の工事着手を目指していく。
同整備は、紫香楽宮跡関連遺跡群を活用し、新たな観光拠点施設を整備する計画で、23年度(令和5年度)までに史跡地内に展示活用施設や芝生地を設置するもの。用地取得については文化庁の史跡等購入費補助金を活用し、公園整備の各種事業費は市負担で実施していく。
起業地は、文化財保護法に規定される国指定の信楽町大字宮町堂浦及び西出地内の約8990平方bで、敷地内に、遺構の概要を見学者に説明するS造平屋建、471・89平方bの遺構保存活用施設、施設のエントランス部分として面積3628・76平方bの透水性舗装の多目的広場、見学スペースとして遺構周辺を張芝で囲む面積2540平方bの芝生地、地内に雨水処理構造物が埋設できないことから代替処理施設として面積1370平方bの雨水調整地や案内板・説明板の設置―などの整備工事を計画的に行う。
総事業費は約4億4000万円。今年度予算については当初予算で約7000万円を確保済みで、用地取得費として執行していく。来年度は、基本・実施設計がメインとなる見通しから約6000万円程度の予算を、22年度(令和4年度)は、各種本体工事にとりかかる考えから約2億円を、最終となる23年度に約1億円を措置し、残工事・諸経費に充てる方針だ。
紫香楽宮跡は、奈良時代中頃に聖武天皇が造営した都城遺跡で、当時の日本の首都に当たると言われている。宮町地域をはじめとする雲井地区からは同宮跡の観光地化整備を望む声が多く、市としても自然と歴史・産業・文化・芸術をネットワークで結ぶ構想推進に寄与するとの考えから、公益性が高いと判断し整備着手を決めた。
提供:滋賀産業新聞