財務省四国財務局の諮問機関である国有財産四国地方審議会の第79回会合が開かれ、高知市曙町の「旧陸軍歩兵第44連隊跡地」を県に売却することを「適当」と答申した。県は2021年度当初予算に用地購入費を要望する考えで、4月以降、四国財務局と見積もり合わせを行う。
44連隊跡地は敷地面積5517平方bで、明治30年代に建設された弾薬庫や講堂が残されている。戦後は国立印刷局高知出張所の敷地の一部として11年の閉鎖まで倉庫などに活用されてきた。県では、同跡地を戦争遺跡として保存活用する方針を決め、6月に四国財務局へ取得を要望していた。
保存修理に向け県教育委員会は、現在基本設計に係る内容の検討を進めている。用地購入後、21年度中にも基本設計を外注し、建物の破損状況をみながら改修内容を決め、合わせて耐震化に向けた補強案も検討する。
規模は弾薬庫が154・3平方b、講堂が251・7平方b。基礎のレンガ組積造や小屋組のトラス、小屋裏の垂木と野地板などの構造と意匠を残す近代和風建造物。
県教委が昨年11月に策定した基本方針によると、現状の外観からの破損状況による想定工事内容として、弾薬庫では下屋のセメント瓦の葺き替え、主体部屋根の隅棟・軒瓦の破損箇所の復旧、下屋床下部の貫の修理・復旧、外壁モルタル塗装の一部塗り直し、樋の交換。講堂では、入り口シャッターを木製引き違い戸への復原、東面と西面の窓の破損箇所修理が示されている。今後、基本設計の中で具体的な工事内容や工期、概算工事費などを算出する。
提供:建通新聞社