東京都財務局は、都民の城(仮称)の改修工事に向けた基本設計業務を2020年度内に委託する方針だ。業務委託費として補正予算案に、21年度を期限とする、限度額2億円の債務負担行為を設定した。11月30日〜12月16日に開く都議会定例会で補正予算が成立後、入札手続きに着手したい考え。入札方式は今後決める。緊急事態宣言の発令後から休止していた事業が再開する。
都民の城は、旧青山円形劇場などが入っている旧こどもの城(渋谷区神宮前5ノ53ノ1、敷地面積9924平方b)を改修する事業。今年2月に改修基本計画の策定が完了した。5月に基本設計の入札を公告する予定だったが、新型コロナウイルス感染症対策に注力するため、事業を休止していた。
改修の内容や工事スケジュールは原則として、改修基本計画の内容を変更せず、23年度の供用開始を目指す。長期的には、周辺の都有地と合わせた敷地を一体的に活用することを視野に、それまでの間、旧こどもの城の施設を中期的に活用できるよう、リノベーションして都民の城として供用する。
旧こどもの城の規模は、鉄骨一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下4階地上13階塔屋1階建て延べ4万1699平方b。1985年9月に完成した。
地下1階〜地上2階にある旧青山劇場と、地上3階の旧青山円形劇場は、既存の構造などを可能な限り残しつつ、芸術文化活動や講演会、式典、展示など、幅広い目的で利用できる大規模多目的ホールとする。改修費用を可能な限り抑えるため、可動式の床は廃止し、つり物・照明・音響に関するスペックを調整する。
地上1階には、多摩産材のPR・体験拠点や東京産品ショーケース、カフェなどを配置する。2階には美術作品などの展示・体験スペースを設け、3階には子どものプレイスペースの他、ARやVRなどの最新技術を使った学び体験施設や最新機器類の展示コーナーを整備する。
4階は教育施設と多目的ホールに、5階は乳幼児用スペースに改修する。6階以上には、創業後間もない中小企業に向けた、会議室・オフィスなどの創業支援施設や、レストラン、福祉人材育成施設、教育研究施設、女性経営者等支援施設を配置する。
この他、スロープや手摺りなどを改修してバリアフリー仕様にするとともに、設備機器類を更新する。
設計・改修工事と並行して施設の具体的な内容を詰め、運営形態や正式名称などについても検討を進める。
提供:建通新聞社