東京都は、新型コロナウイルス感染症が拡がる中でも公共施設の整備・管理を継続していくために、現場での「建設業の働き方改革」を促進していく。16日に開いた技術会議に報告した。2020年度の週休2日工事契約件数は、前年度よりも約120件多い、約890件となる見通し。現場の効率化につながる工事書類の簡素化・削減や、施工時期の平準化などの取り組みも全庁を挙げて推進することを確認した。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現場では「感染症対策に時間を要し、作業効率が低下」「材料の工場製作が遅延し、休日の施工が必要になった」などの課題が生じたという。
そうした中でも週休2日を確保するため、コンクリート二次製品を利用して作業効率を改善したり、複数の工程を想定してコロナ禍での不慮の事態に備える取り組みなどを取り入れた。加えて、受注者の意向を確認した上で、必要に応じて工期を延長するなど、週休2日と適正工期を両立する取り組みも実施した。
その結果、週休2日工事の件数は着実に増加。20年度は19年度の契約件数約770件を上回る約890件になる見通しだ。
現場事務の効率化に向けた工事書類の削減・簡素化も推進している。19年度から各局で試行している「工事関係図書削減・簡素化モデル」は、20年9月末時点で計48件が実施済み。工種別の内訳は、土木33件、建築3件、電気3件、機械9件。
現在、受注者と都監督員へのアンケート調査を行っており、削減による効果が高い書類の種類などを精査中。今後、20年度内に「削減・簡素化が可能な工事関係書類」を示し、各局での本格実施に備える。
この他、施工時期・委託の履行期限の平準化に向けては、21年度の平準化率(年間平均の月別の工事件数を「1」とした場合の4〜6月の稼働工事件数の割合)の目標値を定めた。建築と土木工事では、平準化率0・9以上、設備工事では0・8%以上を目指す。委託業務では、2〜3月に履行期限を迎える件数の割合を設計と測量が40%以下、地質調査が35%以下にする。
具体的な取り組みでは、これまで実施してきたゼロ都債や工期12カ月未満の債務負担行為に加え、繰越明許費を積極的に活用する方針だ。
=コロナ禍で一時中止は約17%=
技術会議では、4〜5月の緊急事態宣言下で、工事や委託業務を一時中止した件数なども明らかにした。
工事件数が多い8局(財務局、都市整備局、住宅政策本部、建設局、港湾局、交通局、水道局、下水道局)のうち、受注者に対して一時中止の意向を確認した件数は工事3255件で、このうち一時中止した件数は541件(約16・6%)だった。
設計など委託業務では、意向確認件数が1358件、一時中止件数が380件(約28%)だった。
提供:建通新聞社