建災防長崎県支部が全国初の取組 12月22日に諌早―五島の足場特別教育で試行 建設業労働災害防止協会長崎県支部は、全国に先駆けてWebを活用したオンライン講習を導入する。既にシステムの構築を終えており、12月22日に諌早技能会館(メーン会場)と五島建設会館(サテライト会場)とを結んだ『足場の組立て等特別教育』を試行予定だ。
離島から本土の講習会を受講するには、交通費・宿泊費や移動時間、天候による公共交通機関の欠航といった課題がある。さらにコロナ禍で、感染リスクや移動手段・宿泊場所の選定、脆弱な医療体制などの不安に加え、家族・職場からの島外移動に対する自粛要請により、本土での講習会受講がますます難しい状況となっている。
そこで県支部では、本土の講習会場と離島とをインターネットで結び、本土の講師と離島の受講者間で双方向のリアルタイムなやり取りができるオンライン講習の導入を決めた。対象とする講習は、実技・演習を伴わない特別教育やその他安全衛生教育(足場特別、足場点検、統括管理、熱中症、酸欠など)で、サテライト会場でも即日交付できるよう、事前に修了証を送付してから実施する。
オンライン講習の実現には、カメラやインターネット環境などの初期投資やランニングコストの問題はあるが、これまで受講者20人以上が条件だった離島での臨時・出張講習が、5人以上で実施できるようになる。受講者の利便性が向上するだけでなく、高齢化などによる講師不足にも対応できたり、会議や説明会など講習以外にもシステムを活用できるといったメリットが考えられる。
本年度は、導入に向けた検討とシステムの構築に着手。離島の建災防支部の分会と協議を進めながら、まずはサテライト会場(五島建設会館会議室)にインターネット環境を整えた五島分会を対象に機器の操作研修会を実施し、オンライン講習を試行することにした。
2021年度は、諫早をメーン会場、五島をサテライト会場とするオンライン講習を本格化。年5〜6回の講習実施を目指す。さらに壱岐や対馬地区でのオンライン講習の導入に向けた検討に着手。22年度には、メーン会場と離島3地区のサテライト会場とを同時に結んだオンライン講習の運用を開始したい考えだ。その後も、対象講習の拡大や、平戸や南島原など本土遠隔地での運用なども見据えた取り組みを展開していく。
建災防県支部の宮下守生事務局長は、10月30日に行われた建災防の全国支部事務局長会議でこの取り組みを説明。建災防本部・各支部の参加者から大きな反響があったという。将来的には、本部(東京)で実施している講師養成講座のオンライン化や、本部や他支部講師によるオンライン講習に繋がる可能性もありそうだ。