京都府は12日、流域下水道事業経営審議会の第2回投資部会を開き、今後の建設改良(投資)費、維持管理費の見通しを報告するとともに、持続的経営に向けた汚泥処理のあり方、広域化・共同化などについて検討状況を示した。
第1回投資部会では、建設改良(投資)費について、▽令和4年度までは雨水対策及び施設増設に重点配分し早期の効果発現を図る▽改築更新は、木津川流域のE1系完成後(令和5年度以降)に本格的に実施し、10年間で約580億円(58億円×10年)を確保してリスクの低減を図る方針で、今後10年間で毎年概ね82億円確保し、事業を実施すると見通しを示した。
第2回投資部会では、維持管理費について、流入下水量に比例して維持管理費の総額も増加し、近年はほぼ横ばい(50億円〜60億円)とし、今後の見通しとして当面は現状と同水準と考えられ、毎年概ね57〜60億円程度が必要となることを報告した。
これを踏まえ、持続的経営に向けた取組としてコスト縮減等を報告した。
汚泥処理のあり方については、汚泥処理の現状を報告。リスク分散・低減の必要性を示し、汚泥発生量の増減や施設の更新時期を考慮し、汚泥有効利用施設の整備や広域化・共同化について検討。場外搬出についてはリスク分散を考慮する。
今後の検討方針では、令和4年度までに下水汚泥の効率的な処理及び有効利用に向けた検討を行い、広域化・共同化も含めた将来的なあり方を検討する。これを受け、施設の更新等の時期に合わせた施設整備を行い、更なる有効利用や処理コスト低減を図る。また流域間や関連市町との共同処理も検討する。なお喫緊の更新が必要な施設は先行して検討を進めていく。
広域化・共同化を巡っては、関係4省(総務省、農水省、国交省、環境省)から都道府県に対し令和4年度までの広域化・共同化計画の策定を要請されている。京都府では、平成30年度に全市町村を対象とする勉強会を立ち上げ、府内を3ブロックに分けたブロック会議において、より具体的な市町村との意見交換・課題共有を図りつつ、広域化・共同化の実施内容ごとに順次具体的な検討を進める。流域下水道としても、水処理・汚泥処理・ソフト対策等の面から、更なる効率的・持続的な運営を実現するための広域化・共同化を検討する。
京都府での主な検討項目として、ハード対策は@水処理施設の統合(→流域下水処理場に近接する処理場を流域下水道に接続)A汚泥の集約処理・資源化(→北部は汚泥処理の集約拠点の整備(有効利用施設)+集約処理、中南部は流域などの大規模な処理場を核とした集約処理)B流域下水道へのし尿投入(→し尿処理場を廃止し、流域の処理場に希釈投入するし尿施設の統廃合)、ソフト対策はC災害時・緊急時対応の共同化D維持管理業務の共同化。
令和4年度の広域化・共同化計画策定に向け、流域下水道として、上記@〜Dの取組について可能性を検討する。
府の流域下水道は、全て汚水のみを排除する分流式下水。雨水に起因する浸入水(雨天時浸入水)への対応について、洛南浄化センターでは、最初沈殿池を一時貯留槽として活用。最初沈殿池のゲート電動化と監視制御設備改築により、水量増加時の一時貯留を可能とする工事を実施中(令和2年度完成予定)。
省エネルギー対策では、平成30年度に流域の3処理場(洛西・宮津・木津川上流)を対象に、日本下水道新技術機構による省エネ診断を実施。将来の設備更新の際に省エネ機器を積極的に導入することが有効であることを確認した。
新技術導入では、最終沈殿池用傾斜板沈殿分離装置(JS新技術T類)を令和2年度以降、洛南浄化センターに導入予定。
経営戦略中間案によると、[雨水対策]桂川右岸流域でポンプ場設備・調整池・公共下水道接続施設(残り約38億円)、[施設増設]木津川流域で水処理施設E1系(残り約50億円)、水処理施設E2系(約70億円)、関連施設(急速ろ過・消化タンク・機械濃縮機等で約50億円)、木津川上流流域で水処理施設7系(機械電気設備)(約10億円)、宮津湾流域で宮津幹線の管渠二条化(約5億円)を盛り込んだ。
改築更新等(耐震・耐水化含む)の主要箇所は、桂川右岸流域(約255億円/10年)で水処理施設のB1・B2系(設備更新、躯体耐震化)、汚泥処理施設の汚泥濃縮棟・消化タンク(設備更新・躯体耐震化)、木津川流域(約205億円/10年)で水処理施設のB系・D系(設備更新)、汚泥処理施設の消化ガス発電・汚泥乾燥・脱水設備(設備更新)、中継ポンプ場の山城中継ポンプ場(耐水化)、木津川上流流域(約80億円/10年)で水処理施設の1・2系(設備更新)、汚泥処理施設の汚泥脱水機・ボイラー設備(設備更新)、第1ポンプ棟(設備更新・躯体耐震化)、宮津湾流域(約40億円/10年)で水処理施設の沈砂池設備(設備更新)、汚泥処理施設の汚泥脱水設備(設備更新)、中継ポンプ場の獅子崎・I賀・須津・堂谷・四辻中継ポンプ場(設備更新)を盛り込んだ。