名古屋市経済局は、中央卸売市場(本場・北部市場)の再整備に向けた検討で、2020年度内を目標に2市場をどうしていくかの考えを取りまとめるため、市場関係者との意見交換を進めていく考えだ。21年度以降の検討は、本年度の議論を踏まえて決めることになるが、再整備に当たっての機能配置やスケジュール検討などのハード面の検討を行う他、市場運営といったソフト面の検討が必要になるとみられる。
本場(熱田区川並町2ノ22)は、鉄骨造地下1階地上9階建て延べ2万5754平方bの中央管理棟をはじめ、全19棟の総延べ床面積17万1503平方bで構成する。敷地面積は17万2032平方b。
北部市場(豊山町豊場八反107)は、鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て延べ6万2294平方bの青果棟など全14棟で、総延べ床面積は16万9405平方b。敷地面積は12万6888平方b。
本場・北部市場は開放型施設で、老朽化の課題があると同時に、現在のHACCAP(ハサップ)、低温化に対応できていない弱点を抱えている。
本年度は、市場関係者との意見交換を継続するとともに、再整備に向けた基礎調査や民間事業者を対象にマーケットサウンディングを実施している。
サウンディングには個別対話で6事業者が参加。▽中央卸売市場と民間収益施設などの規模▽土地の使用条件▽法的規制などへの対応▽再整備の在り方―などについて聞いた。
調査結果の詳細は公表していないものの、本紙の取材に対して、民間活力を導入しての再整備は技術的に可能なこと、建て替え期間中の代替地は必要との意見があったことを明かした。
サウンディングでは、市場再整備パターンとして▽現施設改修型▽機能分担型(水産・青果専用市場を整備して機能集約により余剰地を創出)▽役割分担型(せり・配送専用市場を整備して余剰地を創出)▽機能コンパクト型(現況機能をコンパクト化して余剰地を創出)▽集約統合型(一方の市場に全ての機能を集約、一つを民間開発用地として確保)▽移転新設型(別用地に2市場の機能を移転、現用地を民間開発用地に確保)―を例示して調査を実施している。いずれかの方式または今回の調査で提案のあった手法を取り入れて再整備を行う場合でも、実施に当たっては、市場関係者の合意形成は必要となる。市はサウンディングの結果は、市場関係者に報告済みとする。
今後は、2中央卸売市場をどうしていくかの考えを市場関係者との間で取りまとめていく見通し。20年度内を目標に考えの取りまとめを目指したいと市は説明する。21年度以降の展開は、取りまとめる考えで変わり得るが、配置機能や整備スケジュール検討といったハード面と、市場運営の在り方を見直す結論にいたった場合、運営面の検討も行っていく必要があるという。
提供:建通新聞社