東京都の設置した「東京高速道路(KK線)の既存施設のあり方検討会」(座長・出口敦東京大学大学院教授)は11日9日に最終会合を開き、2030〜40年代を目標としてKK線を歩行者中心の公共空間に転換する提言書案を了承した。銀座を通る延長約2`の高架施設上部が”空中回廊”となる。この提言書案を踏まえて都は、整備に向けた事業主体と手法の具体化、首都高速道路の地下化など関連事業との調整などを進め、まちづくり方針案を策定する。
提言書案では、自動車専用道路のKK線が将来的に廃止された後、高架施設を保全し、歩行者を中心に次世代モビリティも導入した空間へと用途転換する方向性を示した。具体的には、高架施設の特徴を生かした開放的な緑豊かな歩行者空間を提案。広場や店舗の設置だけでなく、地域防災力の向上に寄与する施設・設備の設置も必要だとした。
施設運営は、これまでの手法を継承し、高架施設上部を無料で利用できる公共性を維持することが望ましいと結論付けている。
今後、整備計画を具体化するに当たっては、地元区(千代田・中央・港区)と国、東京高速道路などの関係者で議論を深める。都市計画を変更する必要性や用途転換に向けた事業主体・手法の設定、周辺の再開発など関連するまちづくりとの調整、歩行者デッキ・地下通路との効果的な接続方法などについて、都としての方針をまとめる。
KK線は、高架施設の上部を無料の自動車専用道路(高速道路)として活用している。区間は、中央区銀座8丁目(蓬莱橋)〜銀座1丁目(新京橋)の総延長約2`。高架下にあるビルの賃貸収益で道路建設費と運営費を賄っている。戦後の銀座復興と自動車交通量の緩和を目的に、東京高速道路会社が都有地を定期借地権で賃借して築造した。
KK線は首都高速道路八重洲線と接続しているが、将来的に首都高日本橋区間の地下化が実現すると、現在のKK線は自動車専用道路としての役割が低下する。KK線の廃止を見越して、高架施設の利活用を同検討会で議論していた。
首都高の地下化は今年4月に都市計画事業認可を受けており、完成まで15〜20年間かかると想定している。これを踏まえ、30〜40年代にKK線を新たな用途へと転換する。
提供:建通新聞社