湖南市は、公的家賃住宅等の整備指針である「湖南市地域住宅計画」を中心に地域実情に応じた市営団地等住宅整備を推進していく方針で、来年度は公営住宅等ストック総合改善事業として茶釜団地の長寿命化事業を、令和4年度からは老朽化が著しい市営住宅田代ヶ池団地の長寿命化整備等をメインに予算措置を図っていく。
各事業内容を見ると、岩根363番地にある市営住宅茶釜団地は、敷地内に昭和57年建設のA棟・昭和60年建設のB棟・平成6年建設のC棟の計3棟があり、構造は、いずれも中層耐火3階建で、管理戸数は12戸。今回の整備対象は、軒裏コンクリートの剥落が見られるなど、老朽度・緊急度が他の市営住宅よりも高いとの判断からA棟・B棟の2棟とし、A棟の長寿命化整備を来年度から、B棟を令和4年度から整備していく。主な工事内容は、屋上防水・外壁(外断熱)・鉄部塗装―など。設計は、建築設計創夢(湖南市)が担当。
岩根499番地131にある市営住宅田代ヶ池団地は、中層耐火4階建、延約840平方bのC1棟(16戸)、同じく中層耐火4階建、延約437平方bのC2棟(8戸)の計2棟があり、どちらも昭和50年建設で老朽化が著しいことから過年度に耐震診断調査(担当=日匠設計)を実施、結果、耐震基準値をクリアしたことから令和4年度に長寿命化整備を着手していくこととした。主な長寿命化整備内容は、▽シート防水の交換等を行う屋上防水工事▽ひび割れ補修等の外壁改修工事▽共有部・埋設部等のガス管更新▽給水管等の更新を行う給排水管共用部分更新▽床下地を整備する段差解消工事▽手すり・スロープ設置工事(2棟合わせて1億2924万円程度の工事費が必要と試算)を行う方針で、令和4年度に長寿命化に係る設計委託、令和5年度から約3ヵ年程度で工事を行っていくこととなりそうだ。
その他、老朽化した住宅の適切な建替え・用途廃止を進めるとともに、今あるストックを長期間にわたって有効活用するために「居住性向上」「福祉対応」「長寿命化」に資する各種改善事業を計画的に事業化していく考えだ。
市営住宅の管理戸数は10団地287戸。このうち耐用年数を経過している住戸は平成30年末現在で53戸、用途廃止等の対応を早急に実施する必要があると市は認識している。また、耐用年数を経過していない住戸についても、一部でシロアリ被害や結露等の老朽化、耐震診断が未実施の住棟などが見られ、居住性や安全性の面で早急な対応が求められている。また、高齢化の進展に対応するために、市営住宅の高齢者対応、バリアフリー化等の課題や、厳しい市財政状況や環境保全への配慮の視点から、今ある市営住宅ストックの長寿命化を図り、できるだけ長く活用していくことが求められていることから、継続的に予算を図り事業を推進しているところ。
現況を見ると、▽市営住宅の約7割が旧石部町地域で供給▽昭和40〜50年代に建設された準耐火2階建住宅は、耐用年数の半分を経過している▽60平方b以上のファミリー向けの住戸が半数以上を占めており、30平方b未満の住戸は供給されておらず、単身者などの小規模世帯向け住戸が少なくなっている。
提供:滋賀産業新聞