敦賀市が移転整備を進めてきた「人道の港ムゼウム(資料館)」が3日、リニューアルオープンしテープカットなど記念式典が挙行された。杉本達治知事、渕上隆信敦賀市長はじめ、駐日大使や県選出国会議員、市議、地元関係者、施工者ら約120人が集まり、開館を盛大に祝った。
渕上市長は式辞で「100年前にはポーランド孤児が、80年前にはユダヤ難民らが大戦の最中、命のビザを持ってこの港に辿り着いた。歴史を伝え、優しい気持ちを持つ人を育てたい」と述べた。
続いて、イスラエル、ポーランド、リトアニア、オランダ各国の駐日大使があいさつ。杉原千畝の物語をきっかけに「自分の国にも千畝と同じような行動をした外交官がいたことを知った」と語り、「困難な状況でも自分の良心に従い、道徳性を発揮できると証明してくれた。この物語を末永く語り継いでほしい」と新ムゼウムに対する希望を滲ませた。
杉本知事は「2年4ヵ月後には北陸新幹線が敦賀にもやってくる。新ムゼウムを中心に金ヶ崎エリアを楽しんで頂けるよう努力していく」と連携して発展に向かう姿勢を示し、最後に高木毅衆議院議員が祝辞を述べた。
新ムゼウムの建設規模はS造2階建て延べ1214平方メートル。北陸新幹線敦賀開業に伴う受け皿づくりとして、金ヶ崎周辺施設整備計画をもとに、明治後期から昭和初期にかけ、敦賀港が繁栄していた頃の金ヶ崎地区の象徴的な建物4棟(税関旅具検査所、敦賀港駅舎、大和田回漕部、ロシア義勇艦隊)を復元。
施工は敦賀協栄建築・増永組JVで、実施設計は橋詰設計が担当した。総事業費は約12億円。