京都市は10月30日、NTT都市開発梶i代表取締役社長辻上広志氏、東京都千代田区)を京都市東山区の元新道小学校跡地活用に係る契約候補事業者に選定したと発表した。今後、11月頃に同社と市との間で基本協定書を締結し、自治連合会等を加えた三者により、事業化に向けた合意形成のための協議を行う。
元新道小跡活用を巡っては、事業者からの提案を審査するプロポーザル方式で契約候補事業者を選定するにあたり、7月28日〜31日の期間で応募を受け付けた結果、応募件数は1件だった。契約候補事業者選定委員会(委員長・石ア祥之立命館大学経営学部教授)の審査を経て、同社を選定した。評価点は173・83点(210点満点)。
同社の提案によると、元新道小跡敷地と西側に隣接する宮川町歌舞練場敷地に、上質な宿泊施設、地域施設として耐震性能に優れた多目的ホール(避難所としても活用)、自治会活動スペース(集会所、消防分団詰所・器具庫、倉庫等)や地域交流スペースを整備するとともに、宮川町歌舞練場の建替えを行う。
貸付期間は60年間。貸付希望価格は年額1億0791万円(地元利用等の調整による減額前の金額)。
選定委の主な講評内容によると、両敷地に宿泊施設、地域施設、宮川町歌舞練場等の施設を整備するとともに、東西の新しい歩行者動線を設け、回遊性のある一体的なまちづくりを推進するもの。
宿泊施設は建仁寺、ゑびす神社、京都五花街の一つ宮川町などを有する新道地域において、周辺の歴史的景観との調和を図るとともに、宿泊施設を技芸披露の場として提供するなど、地域文化の継承を目指す上質な宿泊施設を目指す内容。
また歌舞練場敷地に、宿泊施設とは独立した地域施設棟を整備して自治会活動スペースや避難所機能を確保するとともに、元新道小跡敷地に消防分団詰所や小学校があったことの証として、歴史を伝え、近隣住民らが集える地域交流スペースを設けるなど、地域コミュニティの活性化にも資する。とりわけ、災害時の避難所として使用される多目的ホールの優れた耐震性能なども評価できる。
さらに、課題である宮川町歌舞練場の老朽化に対応する建替えや、宿泊施設と宮川町歌舞練場の新たな連携による取組等が計画されており、花街文化の発展と新たな賑わいづくりに資することが期待できるとした。
平成23年3月に閉校した元新道小の跡地は大和大路通沿いの京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町130、125−1、東山区新道通団栗下る2丁目下柳町165の敷地4014・15u(実測面積)。用途地域は商業地域(指定建ぺい率80%、指定容積率400%)。高度地区は12m第4種高度地区。
主な既存施設は、@−1校舎(RC造地下1階地上3階建、延3659u/昭和12年築、Is値0・47、未改修)@−2講堂(RC造平屋建、390u/昭和12年築)@−3校舎(S造4階建、延176u/昭和30年築)@−4給食室(RC造、37u/昭和32年築)A機械室(受水槽)(RC造平屋建、15u/建築年は不詳)B便所(W造平屋建、8u/建築年は不詳)C倉庫・機械室(CB造平屋建、28u/昭和44年築)で、その他にプールがある。
新道通を挟んで西側に宮川町歌舞練場がある。