富山県土木部は28日、県総合運動公園で、「三次元測量・設計研修会」を開いた。県建設技術企画課の依頼を受け、県測量設計業協会(市森友明会長)が全面協力し、会員から講師を派遣した。
県土木部の本庁と各土木センター、土木事務所等のほか、県農林水産部の本庁と各農林振興センターから技術職員38名が参加。
まず、ファミリー広場を会場に、三次元計測の実演が行われ、UAV(ドローン)を飛ばし、取得した点群データの情報を確認するなど、一連の流れを紹介。TLS(地上型レーザースキャナ)も設置し、人が立ち入れない急峻地形を対岸から計測できるメリットなどを解説した。
会場を移動し、講義も実施。冒頭、田中一吉建設技術企画課主幹があいさつし、「生産年齢人口が減少する中、現場の生産性を向上させる必要がある。国交省では魅力ある建設現場を目指す取り組みとして、i―Constructionを進めている。i―Conは一人ひとりの生産性を向上させるとともに、企業の経営環境を改善し、現場に携わる人の賃金水準の向上、安全性の確保につながる。本県も平成30年度からICT活用工事を試行し、昨年度からはICT建機の使用を必須とせず、三次元起工測量および三次元設計データの作成を行う工事も試行対象とした」と述べた上で、「国は三次元測量・設計の標準化の方針を示しており、本県もそのように取り組む必要がある。本日は三次元測量に的を絞り、さまざまな技術の特徴や作業の状況、時間、費用などに理解を深めてもらい、ICT活用工事の普及に加え、各シーンでの活用検討の一助になることを期待したい」と話した。
続いて、県測量設計業協会の副会長で、技術・経営委員長の寺島雅峰氏が、「昨年度から始まった三次元測量・設計研修会は前回、幹部職員のみだったが、今回は技術系職員が対象。本日はCIMの概要、各種測量機器を説明する。国交省では、測量設計のCIM/BIMを令和5年度から標準化する方針。この流れは加速するものと予想される。われわれも新技術を取り入れるため、日々情報収集と研修を行っており、今後も円滑な土木行政へ協力していきたい」とあいさつした。
講義ではまず、三次元測量・設計の概要を説明し、ICT活用工事の利点や三次元データの活用方法、課題などを解説。その後、NMB(ナローマルチビーム)、MMS(モバイルマッピングシステム)、TLS(地上型レーザースキャナ)、UAV(ドローン)の概要や特徴、利点と欠点、活用事例などを報告した。
講師は新日本コンサルタント、寺島コンサルタント、北陸コンサルタント、エイ・テックの担当者が務め、朝日コンサルタンツ、富山測量社、栄光測量設計が運営に協力。