京都市は、新景観政策の更なる進化として、高さ規制の特例許可の許可対象に「まちづくりに貢献する建築物」を追加する建築物の高さ規制の特例制度に関する規定を整備する。
20日開催の市会まちづくり委員会に報告した内容によると、京都の景観の守るべき骨格を堅持し、地域ごとのビジョンに応じたまちづくりの推進に活用できるよう、建築物の高さ規制の特例制度に関する規定を整備。高さ規制の許可対象に「まちづくりに貢献する建築物」を追加する。
これまでの高さ規制の特例許可の対象である「優れたデザインの建築物」「公共・公益施設(学校、病院等)」に、京都市のまちづくりの方針、地域ごとのビジョンに適合し、土地利用や景観等への配慮がなされ、まちづくりの推進に貢献する建築物を加える。
まちづくりの推進に貢献する建築物に関する考え方については、京都市のまちづくりの方針に適合し、建築物が立地する地域や隣接する地域のビジョンに応じて、良好な景観形成や適切な都市機能の誘導、緑地やまちづくりに活用される公共的なスペース等の創出、職住近接に資するまちづくりの実現、周囲の市街地環境への影響等、多面的な視点から建築計画を評価し、まちづくりの推進に貢献する建築物を許可の対象とする。
まちづくりの推進に貢献する建築物の許可に向けた協議のプロセスはステップ1〜4の4段階。構想段階でステップ1として地域ごとのビジョンと事業構想に関する協議、ステップ2として構想段階における事業者・住民・関係者の対話(▽事業者から地域への事業内容や趣旨の説明▽住民等からの意見を事業構想や建築計画へ反映)を行う。
設計段階でステップ3として、建築計画に対する特例許可の手続き・審査(▽建築計画の公告・縦覧、標識の設置、説明会の開催、意見書の提出、見解書の提出▽景観審査会への諮問▽特例許可(許可に際し、必要な範囲において、緑地等のオープンスペースや特定の機能を担う施設の確保等の条件を付すこととする))を行う。
諸手続きの後、工事を実施。ステップ4として建築物の完成、地域のまちづくりへの貢献(▽建築物の適切な維持管理、必要な都市機能の確保▽オープンスペース等を活用した地域のまちづくりへの貢献▽建築物の維持管理状況やまちづくり活動内容等の報告、公表)となる。
新景観政策見直しではこのほか、美観地区や美観形成地区内の小規模な建築物(地階を除く階数が3以下、高さ10m以下、かつ、延200u未満の建築物)を対象に、優れたデザインを誘導する制度として、デザイン規制の特例制度の手続きを美観風致審議会への事前審査に代えて事後報告とすることができる仕組みを創設する。制度の運営に当たっては、コンセプトシート等を活用し、デザインの提案内容を明示するなど、客観性や透明性の確保を図る。
また既存不適格建造物の増築に対する高度地区の手続きを合理化する。高さ規制の既存不適格建築物に対する増築で、新たに増築される部分は現行の高さ規制を超えない場合は、地域の良好な景観形成や周囲の市街地環境に支障がないことを要件に、景観審査会への諮問等が必要な特例許可から、市長による認定制度へと変更する。
今回の見直しに向け、@京都市景観計画の改定と「京の景観ガイドライン(全体計画編)」の新設A都市計画の高度地区の特例規定と「京の景観ガイドライン(建築物の高さ編)」の改正B都市計画の景観地区の特例規定と「京の景観ガイドライン(建築デザイン編)」の改正を行う。
市は、新景観政策の更なる進化「地域のまちづくりの推進と特例制度の活用」について、10月27日から11月25日まで市民意見を募集する。また11月6日及び11月12日に説明会を開く。
その後、美観風致審議会に諮り、都市計画変更案の作成及び縦覧を経て、都市計画審議会に諮り、承認されれば、都市計画の変更、ガイドラインの変更を行う。