東京都建設局は、恩賜上野動物園にある運休中のモノレール(上野懸垂線)について、代替システムの導入に向けた検討を具体化する。老朽化した施設を更新し、跨座式の簡易モノレールを導入するもよう。複数のメーカーなどにヒアリングした上で比較検討し、代替システムに置き換える場合の概算工事費と運営費、維持管理費、施工計画、輸送力などを整理。採算性も検討した上で、PFIなども含めた実施可能な事業手法を探る。
上野懸垂線は、動物園内の東園と西園を往復するモノレールで、駅は両端に2カ所。路線延長は330b。軌道は、線路に車両がぶら下がる形式の片持ち懸垂支持軌道。
1957年に開業し、60年以上が経過した。車両はこれまでに3回更新し、4代目の車両(2両編成、1両当たり定員31人)を運用していたが、この車両も老朽化が進んだため、2019年11月から運行を休止している。
既存の車両は国内唯一の特殊な車両で、製造に3年程度を要することなどから更新が難しいと判断。電気設備などについても今後、大規模な更新が必要になるといった課題がある。また、動物園全体としての魅力向上に向けた取り組みも併せて考えることなどを踏まえ、代替策を検討する。
代替システム候補は、軌道の上に車両が載る跨座式とする見込み。実現に当たっての課題、維持管理の容易性、採算性などについて、課題を抽出。特に、走行時に発生する騒音や振動による周囲の動物への影響について調べる。西園側にある新パンダ舎との距離が近接しているため、主にパンダへの影響の有無を整理する。
メーカーへのヒアリングなどを通じて、維持管理の容易性(交換部品の汎用性、メンテナンス方法)も比較する。導入費用、運営費、維持管理費が試算できる程度の概略検討をまとめる。
上野動物園の来園者などを対象に代替システムの乗車需要や支払い意欲などの項目についてアンケートなどを実施し、都民意見を反映して事業内容を固める。
提供:建通新聞社