東京都事業評価委員会(委員長・内山久雄東京理科大学教授)は10月19日に開いた会合で、川崎市との境に新設する等々力大橋の整備や東武鉄道伊勢崎線(とうきょうスカイツリー駅付近)の高架化など6事業を審議し、都の方針通り全ての事業を継続することを了承した。
今回審議したのは▽等々力大橋(仮称)▽東京都市計画都市高速鉄道事業東武鉄道伊勢崎線▽東京港品川地区複合一貫輸送ターミナル▽利島港前浜地区離島ターミナル▽武蔵野公園▽東京都市計画道路放射第35号線・第36号線―の6事業。
等々力大橋は、世田谷区玉堤2丁目〜川崎市中原区1丁目地内をつなぎ、多摩川を渡河する都県境橋。都が整備主体となり、川崎市が管理を担う。
規模は橋長約390b、幅員約32b。主塔高さは約17b。上部工の形式は、鋼4径間連続合成箱桁橋、下部工は場所打ち杭の橋台2基と、ニューマチックケーソンの橋脚3基。
2017年度に工事を始め、20年度から下部工事に着手した。用地は約5割を取得済み。引き続き用地取得を進め、25年度の事業完了を目指している。
全体事業費は139億円(用地費31億円、工事費108億円)を見込む。
=スカイツリー駅周辺、にぎわい創出目指す=
東武鉄道伊勢崎線の高架化は、墨田区押上2丁目〜向島1丁目の延長約0・9`区間が対象。踏切1カ所を除却することで、観光・路線バスの円滑化と歩行者の回遊性向上を図る。加えて、高架下を活用してにぎわいの創出も狙う。
今年3月に仮線への切り替えが完了し、高架橋の築造工事を実施中。沿道の町会や商店街では踏切除却に向けた地元協議会が設立されており、事業に対する協力と理解が得られているという。
全体事業費は244億1500万円。24年度の完了を計画している。
利島港では、定期貨客船や高速船の就航率向上と乗降客の安全性向上などを目的に、岸壁と防波堤、護岸などを整備している。現在の工事進捗率は70・5%。海上工事は気象の影響を受けやすく、施工環境に制約があることからから、ICTを活用して効率化・省人化に取り組むことも検討する。事業完了は28年度となる見込み。
品川ふ頭では、老朽化した岸壁の耐震改良や上屋の改築などに取り組んでいる。大地震が発生した際の緊急輸送対応施設となるため、事業の継続が妥当であると委員会は判断。26年度の完了を目指す。
=武蔵野公園 用地取得85%が完了=
武蔵野公園は、46・32fのうち、85・2%の用地取得が完了した。未取得地の多くは宅地のため多くの地権者がおり、調整に時間を要しているものの、着実に進めたい考え。事業認可期間は25年度まで。
放射第35号線・第36号線の整備に関しては、板橋区小茂根4丁目〜練馬区早川2丁目の延長1970b、幅員40〜50bの整備事業を評価した。現道のない新設道路の整備箇所があり、地権者が多いことから用地取得に時間を要している。用地取得率は74・2%。23年度の工事完了を目指し、工事可能な箇所から街路築造や電線共同溝設置に着手する方針だ。
提供:建通新聞社