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建通新聞社(神奈川)
2020/10/19

【神奈川】県 都市マスタープランを改定へ

 神奈川県は、県土全体の広域的な都市づくりの長期ビジョン「かながわ都市マスタープラン」を改定する。気候変動による災害の頻発・激甚化、ICTの技術革新といった社会情勢の変化を踏まえた内容とする方針だ。このほどまとめた素案によると、都市づくりの基本方向としてSDGsの理念の共有、レジリエンス(強靱性)などの観点を重視し、民間活力の活用、特区制度などとの連携を図るとしている。パブリックコメントなどを経て、2021年2月の県議会定例会に改定案を報告する予定。
 マスタープランは1986年に策定された県土・まちづくり分野の基幹的な計画。県と指定都市はこれを基に、「都市計画区域の整備、開発及び保全方針」を定め、市町は「市町村の都市計画に関する基本的な方針」を定めている。前回改定から10年以上が経過しており、今後の社会経済情勢の変化に的確に対応する必要があることから、改定することになった。
 素案ではプランの展望時期を2040年代前半に設定。都市づくりに基本方向として、SDGsの理念共有、スマートシティ、ダイバーシティ(多様性)、レジリエンスなどの観点を重視。また、都市運営の観点から、選択と集中の徹底による社会資本整備、ストック効果の最大化、都市づくり関連制度の積極的な運用を目指すとしている。
 社会経済情勢の変化への対応では、人口減少の本格化を見据えた「コンパクト+ネットワーク」形成、リニア中央新幹線や首都圏3環状道路を生かした都市づくりを推進。気候変動に対しては、ハード・ソフト一体となった防災・減災対策、地域の実情に応じたハザードエリアにおける土地利用規制・誘導、無電柱化の推進、地籍調査の促進などを進めていく。
 ICTなどの新技術は、スマートシティの形成や、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)などによるスマートモビリティ社会の実現に向けて活用する。
 この他、既存ストックの老朽化や、官民連携の進展を踏まえた都市づくりを行うことも明らかにしている。具体的な取り組みとして挙げているのは、▽インフラの予防保全による長寿命化▽長期未着手の都市施設見直し▽PPP/PFIの活用▽クラウドファンディングの活用▽都市計画基礎調査のオープンデータ化―など。
 なお、新型コロナウイルス感染症への対応については、都市づくりにどのような影響を与えるか現時点で検証が困難なため、今後、国の動向を注視しながら、検討を進めていく考えだ。

提供:建通新聞社