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北陸工業新聞社
2020/10/15

【福井】ヨシクニ/吉川邦夫氏建設マスターに輝く/20年度優秀施工者国土交通大臣顕彰/「楽しい」「面白い」が原点/物をつくる喜びを味わって欲しい/日本伝統の工法・素材を見つめ直す

 20年度優秀施工者国土交通大臣顕彰で左官工の「建設マスター」に輝いた吉川邦夫さん。お世話になった親方からの電話が第一報で、初めて知ったという。「周りの皆さんのお陰です。とにかく嬉しい」と受賞の喜びを素直に語る。
 左官業に携わるきっかけとなったのは、大学時代のアルバイト。兄の紹介で働くことになった。職人さんや様々な仕事に触れるうちに物を作る喜びを感じるようになったという。「自分はサラリーマンには向いていない」という思いもあり、金沢での約5年間の修業時代を経て、福井に戻り1年半働いたあと独立した。
 左官業の魅力について尋ねると、昨年「技の祭典」で披露した社員が創った作品=写真=を示しながら、「何もない所から、ひとつひとつ産み出していくプロセス」と即答。
 左官の魅力に取り憑かれて以来、約40年。「この職業を選んで本当に良かった」と微笑みを浮かべる。
 後進の育成にあたり、まずは「自社だけでなく業界と連携して取り組むことが大切」と語り、深刻な人手不足の課題がある中で、「働き方改革での週休2日制や労働時間短縮など、少しずつではあるが、まず基礎的な部分を固めていくこと」と受け皿づくりの重要性を示す。氏が働き始めた頃の環境と現在を比較して「確かに親方や先輩に厳しくして頂いたお陰で現在の自分がある」と答えつつも、「ただそれを若い人にどう伝えていくのかと問うと、やはり『本当に面白いな』『楽しいな』と感じてもらうところがスタートではないか」と語る。
 今後の抱負について、「日本には素晴らしい素材が沢山あるが、現在は乾式工法やすぐにできるものが主流。先人が受け継いできた伝統的な工法・素材の素晴らしさを若い方々に伝えていきたい」との姿勢。その上で再度、「自分がそうだったように、何にもまして左官業の喜びを体感することが重要で、そこが原点」と強調する。

68歳。今後は東南アジアやインド、ヨーロッパ等を回り、製法や材料の違いなど現地の建築を勉強したい、と目線は海外へ。

hokuriku