熊本地震で南阿蘇村立野の国道57号が被災し、国土交通省が整備を進めていた北側復旧ルート(阿蘇市赤水〜大津町引水、約13`)と現道部(約2`)が3日、開通した。現地で式典があり、坂本哲志内閣府特命担当大臣や大西英男国土交通副大臣、蒲島郁夫県知事らが出席。約4年半という異例のスピードで復旧を成し遂げた施工関係者に感謝の言葉が贈られた。
北側復旧ルートは阿蘇坑口付近の二重峠トンネル内で、その後、大規模斜面崩壊が発生した阿蘇大橋地区の現道でそれぞれ開通式典を開いた。地元選出の国会議員、国交省の吉岡幹夫道路局長と村山一弥九州地方整備局長、佐藤義興阿蘇市長、家入勲大津町長、吉良清一南阿蘇村長らも出席し、テープカットやくす玉開披などで祝福。現道部では、崩壊斜面を震災遺構として後世に伝えていくため、「数鹿流(すがる)崩れ」と命名された石碑も設置した。
式典で大西国交副大臣は「一日も早く完成させるために様々な工法を用いて、通常よりおよそ半分の工期で見事に完成を遂げた」。現道部については、斜面対策の無人化施工に触れ、「困難な現場で技術力を発揮した」と述べ、すべての施工関係者を称えた。
蒲島知事も工事関係者に「昼夜を問わず作業にあたった」と感謝した上で、「阿蘇へのアクセスルート復旧は県全体の観光・経済の再生に大きく貢献すると確信している」と述べた。
来賓から、坂本大臣は「日本の土木技術の水準の高さに驚いた」と強調。「来春には阿蘇大橋も完成する。インフラ整備が起爆剤となって阿蘇地域が再び活力を取り戻すことを期待している」と話した。
北側復旧ルートは、被災した国道57号の代替路として2016年11月に着工した。片側1車線の自動車専用道路で、起終点の阿蘇西ICと大津ICのほか、中間に車帰IC、大津東ICを設置。区間内には、阿蘇外輪山を貫く3659bの二重峠トンネルを建設した。
阿蘇大橋地区は、熊本地震により、斜面長約700b、幅約200bの大規模な斜面崩壊が発生し、約50万立方bの土砂が流出。阿蘇大橋は崩落し、斜面下の国道57号では崩壊(240b)と欠壊(220b)が起きた。斜面、現道とも20年3月末に対策工が概成し、復旧技術検討会の最終会合で「安全性は妥当」と判断された。事業費は斜面が約93億円、道路部が約20億円。
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