国土交通省徳島河川国道事務所が整備を進める四国横断自動車道(新直轄区間)のうち、勝浦川渡河橋「津田大橋」(仮称)の整備に関する環境保全検討委員会(委員長・中野晋徳島大学環境防災研究センター教授)の第5回会合が開かれた。当面の事業休止と環境モニタリング調査の計画見直しを決めた前回の第4回会合(2017年7月28日開催)から3年余り経過しての開催となったが、準備工の開始時期など新たな施工スケジュールの詳細は示されなかった。
今回の委員会は、仮設計画の変更に伴い河川環境改変の範囲が大きくなる可能性が生じた点や、事業休止期間が長引いたことによるこれまでの環境モニタリング調査結果の有効性を再確認する必要が生じたこと、また、仮設計画の変更に伴い調査計画を再検討し見直すなどの理由で開かれた。
仮設計画については、これまで水深の浅い範囲のみに仮桟橋を設置し、水深の深い箇所は台船施工することで仮桟橋の設置範囲を最小にし、改変面積の最小化を図る計画だったが、台船では河床堆積による掘削、強風による作業中止が起こりうるため、陸上部から仮橋で進入する施工方法に変更。河床の改変面積の最小化に加え工期短縮も期待できるとした。
環境モニタリング調査計画の見直しについては、この仮設工の変更や連続するトンネル坑口付近の埋蔵文化財調査に伴う影響を踏まえ再検討し、底生生物や植物の生息環境とその生息状況の変化の把握を行うとともに、調査実施のタイミングの一部変更や付着生物調査地点の変更などを行う考えが示された。
委員からは事業休止の長期化による環境モニタリング調査結果の有効性を危惧する声や仮設計画変更による効果を疑問視する意見などもあったが、今後も環境モニタリング調査計画に基づき、必要な調査を実施するとともに委員会を適宜開催していく考えなどを示し理解を求めた。
対象となる津田大橋は、徳島東インターチェンジ(IC、仮称)〜小松島IC(仮称)間7・7`のうち、津田高架橋(津田地区)と大神子第1トンネル(仮称・大原地区)間の勝浦川に架かる橋梁。橋梁諸元によれば、橋長544・5bの鋼5径間連続鋼床箱桁橋(B活荷重、設計速度100`)で、下部は柱式橋脚、基礎はP2〜P4(左岸→右岸)が鋼管矢板基礎、P5がニューマチックケーソン基礎の構造となっている。詳細設計はオリエンタルコンサルタンツ徳島事務所(板野町)が担当した。
同橋梁は阿南IC〜津田IC間14・9`内に位置し、津田IC〜徳島東IC間2・8`が20年度に供用するのに合わせ、遅延のない供用を目指す区間に位置付けられている。区間の詳細な工程は明らかにされていないが、前回の会合では、当面事業を休止(環境モニタリングも一応データは取れたとして原則その間は休止)するとして、着工のめどがついた時点で「着工前の1年間は必ず環境モニタリングを実施する」とする調査計画の見直しを決めていた。
今回は仮設計画の変更に伴う環境モニタリング調査計画の確認・見直しとなったが、今後の動向が注目される。
提供:建通新聞社