勝浦市水道課は「勝浦市水道ビジョン・経営戦略」を策定した。2021〜30年度までの10年間を事業推進計画期間として位置付け、50年後の長期展望に立脚した将来像を踏まえた計画とした。事業推進期間と位置付けた10か年の総事業費は37億7971万8000円円を見込む。主要事業では、佐野浄水場大規模改修工事、佐野浄水場粉末活性炭接触槽建設工事、配水池の耐震診断・耐震補強工事、老朽管更新事業(石綿セメント管布設替え)などを予定する。
事業費の内訳は老朽管更新事業2億3578万6000円、老朽施設改修事業33億499万4000円、水道施設整備事業2億3893万8000円。
老朽化更新事業では、石綿セメント管の布設替え工事を実施。計画期間最終年度の次年度となる31年度までに完了させる。また、石綿セメント管を除く経年管は約71・86q残存していることから、今後管路の更新計画を策定し、更新を進めていく。
一方、老朽施設改修事業は、27〜29年度の3か年で佐野浄水場大規模改修工事を実施。水道施設整備事業は、20年度に佐野浄水場粉末活性炭接触槽の建設工事を行い、23〜30年度に配水池の耐震診断・耐震補強工事を実施する。
年度別事業費は▽21年度2439万8000円▽22年度1609万8000円▽23年度5879万7000円▽24年度4861万9000円▽25年度1億179万8000円▽26年度9379万5000円▽27年度11億2693万2000円▽28年度11億1173万1000円▽29年度11億1937万1000円▽30年度7817万9000円。
同市の主な水道施設は、佐野浄水場、松部浄水場、鵜原配水池、上植野配水場で、このうち松部浄水場は運転を休止している。浄・配水場系は、佐野浄水場系と南房総広域水道受水系の2系統。管路施設は総延長166・6q(18年度末)。このうち耐震管路は約12・8qで、耐震適合率約7・7%となっており、県内の全水道事業体の耐震適合率52・7%と比較すると大きく下回っている。また、石綿セメント管は約3・80q(約2・3%)で、布設後20年を超えた経年管が約71・86q(約43・1%)残存している。このため、同計画に基づき、計画的に事業を進めていく。
水道ビジョンは「安全」「強靭」「持続」の観点から、▽安全で良質な水を安定して供給できる水道▽災害に強い水道▽健全経営の維持と利用者サービスの向上を持続できる水道――を基本目標として設定。
この基本目標の実現に向けて「安全」と「強靭」で各5項目、「持続」で8項目の施策方針を掲げ、各施策を推進していく。
「安全」では、水源汚染リスクの監視体制強化、水源流域の環境保全、適切な浄水処理方法の維持、水質検査計画の策定と検査結果の公表、水安全計画の策定を実施。
「強靭」では、耐震診断による水道施設の耐震化、施設・老朽管の更新、災害時の応急給水の確保、応急復旧体制の整備、危機管理体制の強化を、また「持続」では、広域化の推進、民間活用の導入検討、有収率の向上対策、適正な料金確保、エネルギー消費量の削減などを推進する。