日本工業経済新聞社(群馬)
2020/10/09
【群馬】県土整備部が新県土整備プランで担い手確保の施策示す
県県土整備部は次期県土整備プランで、社会資本の整備と維持管理の担い手確保と育成への取り組みを拡充する方針を示した。このほどまとめた原案には、取り組む方策として現行計画の「建設産業の働き方改革」「建設現場の生産性向上」に「建設産業の魅力の発信」を追加、3本柱で各種取り組みを展開する。新たな取り組みとして建設キャリアアップシステム(CCUS)、適正な工期設定、建設現場のWeb監督を盛り込んでいる。
データのある2015年度時点の群馬県の建設就業者数は7万1056人で、ピーク時の10万2525人と比較して30%減少。年齢構成は55歳以上が全体の37・2%を占め、29歳以下の10・4%と比べ大きな差が生まれている。さらに、全国建設産業の年齢構成は55歳以上33・8%、29歳以下10・8%であり、全国的にも高齢化が進行している。生産年齢人口の減少を踏まえ、限られた人材による社会資本の効率的・効果的な整備や維持管理が必要な状況。
同プランは建設産業を社会資本整備と維持管理の担い手、地域の安全・安心の守り手として不可欠と位置付ける。建設産業の働き方改革と建設現場の生産性向上、建設産業の魅力発信の3つの方策で、安定的かつ持続的な担い手の確保・育成を支援する。10年後に建設産業の持続的な発展と社会資本整備や維持管理、災害時の対応ができる体制の維持を目指す。
建設産業の働き方改革に向けては、長時間労働の是正と現場の処遇改善に取り組む。
長時間労働の是正は週休2日制モデル現場の試行や適正な工期設定により、若手技術者や女性技術者の確保を目指す。
現場の処遇改善として新たに建設キャリアアップシステムの活用促進を掲げた。このほか、若手技術者・女性技術者の働きやすい環境を整備するため、現場環境の改善に取り組む。
建設現場の生産性向上に向けては、地域にマッチしたICT技術の積極的な活用を促進。作業プロセスの効率化を図ることで、生産性向上につなげる。また、対面主義にとらわれない働き方の推進として、20年度に試行を開始した建設現場のWeb監督(遠隔臨場)の導入も盛り込んでいる。
また、コンクリート工事で流動性向上や二次製品の活用などに取り組むことで、現場作業の省力化・工期短縮を図る。月当たり施工量が平準化されるよう発注計画の策定・公表、フレックス工期の活用により、受注者の観点からの施工時期平準化を支援する。
建設業の魅力発信に向けた取り組みは、建設産業の仕事の魅力ややりがいを伝えるためのインターンシッププログラムなどを推進。土木系高校生・大学生・高専生を対象に実習や中学生向けの職場体験学習に取り組む。県内の土木系高校で2年生の生徒と保護者への説明会、県内建設系学科の女子高校生と建設産業で活躍する女性技術者との意見交換会なども継続する。
大学生や高校生などが県内建設関連企業へ就職するのを支援する。建設関連企業や採用人数、職種・初任給などを紹介した企業情報誌や就職情報誌を建設産業団体連合会と連携して作成・配布する。
このほか、土木構造物への工事銘板設置や建設産業の魅力を伝える動画の配信、建設産業の魅力を伝えるイベントを展開する。