東京都は、情報通信技術(ICT)を活用した「工事情報共有システム」の活用を促すためのガイドラインを策定した。調査・設計、工事などの担当が作成した情報を、互いにいつでもどこでも検索、閲覧、取得できることで、業務の効率・省力化につなげる。受発注者間のコミュニケーションを円滑化するとともに、双方の生産性の向上に寄与することを目指す。
建設局は、2003年度から工事情報共有システムを導入している。工事施工に関わる文書、写真、図面などの情報をインターネット上で提出や共有することができる。
今年1月に品確法の運用指針が改正され、工事、測量、調査、設計で「情報を発注者と受注者双方の関係者で共有できるよう、工事情報共有システム等の活用の推進に努めること」が明記された。また、業界との意見交換では「毎日、書類を事務所に届けるのが時間的に大変」という意見があり、発注者側も受注者から提出される工事書類の山に追われている実態があるという。
これらの現状を反映し、より受発注者間のコミュニケーションが円滑化し、受発注者双方の生産性の向上に寄与できるようガイドラインを定めた。
ガイドラインでは、工事情報共有システムを活用することで期待できるメリットやシステムの機能、利用上の留意点などを記載。メリットとして、受発注者双方の業務で「工事書類の処理の迅速化」「工事書類の整理作業の軽減」「情報共有の迅速化」「日程調整の効率化」を図ることができると説明した。さらに、地元協議資料なども関係機関と共有することで、工事単位だけでなく事業全体を円滑化することが可能になるという。
将来的には、工事情報共有システムを利用してオンライン電子納品が可能になる機能の追加・拡充を予定している。この機能が実装されると、受注者は電子成果品を納品するために電子媒体(CD―Rなど)を作成したり郵送で提出する必要がなくなり、発注者は電子納品データを保管管理システムへ登録する作業が不要になる。
ガイドラインは建設局のホームページで確認できる。
提供:建通新聞社