国土交通省近畿地方整備局と奈良県建設業協会(山上雄平会長)との意見交換会が10月5日、奈良市内で行われた。山上会長は「奈良県は事業投資量が全国レベルと比べ少なく、幹線道路の整備も遅れており、地域建設業者育成のため、コロナ禍の景気回復のためにも発注をお願いしたい」と求めながら、地域建設業の実態についての現状認識を踏まえた対応に期待した。近畿地方整備局企画部の池口正晃部長は「多くのテーマについて直接話を聞くことが大切。関係機関にも伝え、互いにウインウインになる改善点を探っていきたい」とあいさつした。
意見交換では、協会が@建設関係予算の確保と予算運用A現場作業員の労働環境の改善B設計積算C入札・契約などD企業チャレンジ型入札の推進や格付け基準の見直しE工期Fi―ConstructionG担い手三法・指針の出先事務所や地方自治体への周知指導H現場条件の不一致―の九つのテーマを提案した。
このうち、企業チャレンジ型入札の推進では「京奈和自動車道関連工事の入札に地元建設業者がより多く参加できるよう、企業チャレンジ型入札の改善と拡大、またチャレンジ型受注者がその実績を生かせる発注方法の検討」「一般土木でのDランク工事の拡大」などを求めた。整備局は「現場の事業進捗、工程、規模、難易度、競争性確保、受注機会確保などを考えた上で、発注方式を決定、考えている」とし、「受注機会が確保できるよう努めたい」と答えた。
工期については、工事発注の平準化や気象条件などやむを得ない工期延長などを協会が要望すると、整備局は余裕期間制度のフレックス方式、工期設定支援システムを説明し、適切な工期設定、平準化に取り組む考えを示した。
i―Constructionについては、ICT活用の評価項目として▽土砂などの過積載防止対策として重量計測機能搭載建設機械▽建設機械の安全性向上対策として作業エリア認証型機能搭載建設機械―の積極的活用を要望。プレキャスト化の採用促進による生産性の向上も合わせて求めた。整備局は「新技術活用の原則義務化も始まっており、提案された2点は新技術活用に当たるものではないか。効果を勉強したい」。また、プレキャスト化については「現場の生産性向上に効果があるとして採用促進という方向に進んでいく」可能性を示した。
現場条件の不一致の削減については、「発注前に図面の確定、地元調整を原則とし、入札後に発生した場合には発注者主導で工期延長を」と協会が要望。「協議が長引き、工期が厳しくなれば品質への影響があったり、働き方にも影響があったりする。決断を早めにお願いしたい」と強調した。整備局も「結論を早く出し、課題の解決につながるように努力しないといけない」と答えた。
提供:建通新聞社