東京都建設局は、改正品確法を踏まえた「災害対応」「働き方改革」「生産性向上」「区市町村が実施する施工時期平準化の支援」の4点について、2021年度からの取り組みの方向性を検討する。災害対応に関しては、総合評価方式での加点など、地域の担い手を確保するための方策を探る。緊急度が高い本復旧工事では、設計段階から施工者が技術協力する「技術提案・交渉方式(ECI方式)」の導入を検討したい考え。また、働き方改革の一環として、不調・不落対策に取り組むためのデータ分析を進める。
各検討項目の課題を「建設局事業における公共工事の品質確保の促進に関するアドバイザリー会議」で議論し、新たな目標(指標)を設定する。
災害復旧工事を速やかに実施するためには、平常時の維持工事を担う事業者を確保することが重要となる。防災に関わる取り組み態勢と活動実績を評価し、総合評価方式で加点するインセンティブを維持工事に導入したい考え。国土交通省が実施している「自治体実績評価型」と「地域防災担い手確保型」を参考に、実現可能性を検討する。
また、本復旧工事では、技術提案・交渉方式(ECI方式)での発注も視野に入れる。設計段階から施工者が技術提案などに関与することで、設計と施工の効率化を狙う。
働き方改革に関しては、不調・不落対策に取り組む。価格競争に比べ、総合評価方式で不調率が高い傾向にあるという。工種別に、▽一般土木工事(過去5年間の不調率20%)▽河川工事(31%)▽道路舗装工事(19%)―を対象とし、金額と発注時期、地域特性などを踏まえて不調の原因を分析。20年度末に開くアドバイザリー会議の次回会合で示す。分析結果を踏まえて業界団体へヒアリングし、今後の対策につなげる。
生産性向上では、ICT技術を使った3次元データの活用が進んでおらず、各プロセスでの手戻り、重複作業などが発生している。加えて、これまでのインフラ整備で蓄積したデータの情報共有・有効活用が図られていないといった課題があるという。今年7月に設置した「東京都建設局ICT活用工事等推進連絡会」で課題を整理し、まずは工事の各段階でのICT活用に取り組みたい考え。
この他、都内の区市町村では、施工時期の平準化率が国や都に比べて低い状況にある。23区・26市では債務負担行為の件数割合が約5〜6%にとどまっているだけでなく、夏休み期間中に工事が集中する学校関連の工事が約25〜30%と多くの割合を占めることから、平準化率が低い結果となっている。
13町村では、発注件数が少なく、施工時期に制約がある工事の影響を大きく受ける。債務負担行為の積極活用は財政・契約部署との協力も必要となってくることから、都財務局とも連携し、各区市町村への周知徹底を図る。
提供:建通新聞社