日本橋梁建設協会(満岡次郎会長)と国土交通省四国地方整備局は9月29日、高松市内で意見交換会を開き、鋼橋事業を巡る働き方改革や技術力の進化・継承などに関して、今後も協力して課題解決に取り組んでいくことで一致した。
協会側はまず、会員企業の事業継続の観点から中長期の具体的な発注見通しの公表を求めた。同局は「今年4月期から最大支間長や架設方法を明示する試行を本官(局契約)工事で開始した。引き続き詳細な情報の公表に努める」と答えた。
協会側は次に、鋼橋事業への多様な入札契約制度の活用を要請。同局は「四国地整で初となる技術協力施工タイプを国道32号高知橋の耐震補強に適用し、契約手続きを進めている」と説明。設計段階から施工者が関与することで施工上の課題を解決できたと評価し、「施工条件が厳しいなど課題の多い現場に『ECI方式』の採用を検討していく」との方針を示した。
橋梁技術者育成のため、協会側は評価方法などの配慮が必要だと指摘したのに対し、同局は「若手技術者の配置を促す評価方法の各種試行に取り組んでいる。引き続き試行を活用することで担い手確保に努める」との意向を示した。
鋼橋技術力の進化・継承に関連し、段階確認・材料確認・立会検査へのウェアラブルカメラの活用推進を求める意見に対して、同局は「本年度は段階確認などの遠隔臨場を10件以上で試行する。今後、本格実施に向けて推進する」と説明した。
協会側はさらに、現場の安全対策についても触れ、新型足場構造(システム足場)の採用を提案。同局は「本年度、先行床施工式フロア型システムつり足場(クイックデッキ)を補修工事で一部採用した。安全面での効果などを確認しながら試行を検討していきたい」と応じた。
重要性や予算が増している橋梁の維持修繕を巡っては、技術者の不足や手間とコストが釣り合わないことなどを要因に不調・不落が発生していることを危ぐし、協会側は対策を協議・検討する場の設置を求めた。同局は「手間が掛かりコストが割高になることは認識している。協会と意見を交わすことが有効な手段だ」と答えた。
提供:建通新聞社