川崎市は、PFI手法(BTO方式)により実施している黒川地区小中学校の新設事業が2023年3月31日で契約満了となることから、次期事業のスキームを検討している。より効率的な管理運営、学校施設の長寿命化、大規模修繕・運営の財政負担軽減につながる事業手法などについて、民間事業者から広く意見を聞くため、サウンディング調査を実施する。調査への参加申し込みは10月7日まで受け付け、民間事業者との個別対話を19日から30日の間に行う予定。民間からの提案結果を取りまとめ、概要を11月から12月ごろに公表する予定だ。
調査の結果を踏まえて次期事業の事業スキームを検討し、21年度には事業スキームを確定する予定。PFI、DBO、包括民間委託方式などの手法を採用し、民間活用の活用を図る場合、21年に事業者の公募、22年度に事業者の決定、23年4月からの次期事業開始を予定している。
黒川地区小中学校(はるひ野小学校・中学校)は、麻生区黒川地区の世帯増に伴い、PFI手法により新設したもの。敷地面積は3万0682平方b、用途地域は第1種中高層住居専用地域、建ぺい率60%、容積率200%。小中学校校舎などの学校施設が延べ2万1481平方b、児童の健全育成事業(わくわくプラザ事業)を実施するための施設が延べ160平方b、地域交流センターが延べ370平方b。約2年間の設計・建設期間、15年間の維持管理・運営期間を経て23年に契約期間が満了となる。
次期事業について現時点で川崎市が民間に期待するのは、@学校施設の長寿命化A子供たちの心身の健全な発達・成長の歩みを支える環境づくりの一環としての給食提供B地域づくり、まちづくりに寄与する施設運営―など。事業スキームについては、▽現PFI事業の業務の継続=PFI―O・包括民間委託方式(一括・性能発注)▽大規模修繕業務の追加=PFI―RO、DBO(一括・性能発注)▽全ての業務の個別発注=他校と同様の業務委託(個別・仕様発注)―の3通りを想定している。
PFI―Oは、PFI法に基づき行政所有の施設の維持管理、運営を一括して性能発注する手法で、必要に応じて民間が資金調達を行うもの。事業期間は10〜15年間を想定。
また、PFI―ROは同じくPFI法に基づき、施設の改修(設計を含む)、維持管理、運営までを一括して性能発注する手法であり、改修などに必要となる資金は民間が調達する。DBOは施設の設計、施工、維持管理、運営を一括して性能発注する手法で、建設工事請負契約と維持管理・運営の委託契約の組み合わせであり、民間資金を活用しない従来の公共事業の延長線上にある。
包括民間委託方式は、複数の業務や複数の施設の維持管理、運営に関する業務などを対象に、一括発注、性能発注により複数年度にわたり民間に委託する手法で、事業期間は5年を想定している。
サウンディング調査では、これらの事業スキームを参考に、民間ノウハウの活用・創意工夫の余地、事業参画などの観点から、業務範囲について民間事業者の考え方を聞く。三つの事業手法のパターンにこだわらず、業務範囲から除外する、あるいは含めるなど自由な組み合わせも受け付ける。また、民間事業者が希望する業務範囲と、それに対応した事業手法、事業期間、事業のリスク分担、事業への関心や参画の可能性などについても意向を尋ねる。
提供:建通新聞社