9月30日に開かれた東京都議会本会議では、高台まちづくりや工事での下請け契約の適正化、週休2日確保への柔軟な対応の必要性などについて、各党の議員が一般質問した。河野ゆりえ氏(日本共産党)は、コロナ禍で経済環境が悪化している中、しわ寄せを受けやすい下請けについて都発注工事の実態を把握するよう求めた。これに対し潮田勉財務局長は、「元請け企業に対し、下請け契約の適正化を要請している。加えて今後は、フォローアップ調査などを実施することで適正な下請け代金の支払いなど、実態の把握に努める」と説明した。具体的な調査方法については現在検討中で、準備ができ次第、公表する。
高台まちづくりに関しては、都と国土交通省が設置した「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」で、河川沿いの区域を嵩上げして高規格堤防を整備する高台まちづくりを推進する案が示されている。
河野氏は、「小規模な家屋が密集している場合、現実性がなく、ハード整備には長い時間を要する。盛り土した地盤の強度不足や沈下への懸念などの意見が各自治体から上がっていると指摘。「真剣な見直しが必要」だと訴えた。
答弁に立った小池百合子知事は、「連絡会議で年内に最終取りまとめを実施し、国や地元区と連携して高台まちづくりを進める」とし、着実に取り組む考えだ。
田村利光氏(都議会自民党)は、建設業の働き方改革について質問。「財務局が発注している週休2日モデル工事では、休日の対象は土日・祝日のみで、現場の実情にあった柔軟な休日の取得が認められていない」とただした。
潮田局長は「受注者が任意に休日を定める仕組みが必要だと認識している」と話した上で、「財務局発注の建築工事では、受注者の希望に応じて休日を設定できるモデル工事を試行する。施工状況や天候、敷地の周辺状況などに応じて受注者が工程を柔軟に組めるようにする」との方針を明らかにした。
この他、国分寺市役所庁舎の移転用地として同市に売却することが決まっている都有地について、岡本こうき氏(都民ファーストの会)が売買契約の進捗状況について質問。潮田局長は、「市の計画を踏まえ、21年度の国分寺市議会の議決後、売買契約を締結できるよう、土地の外部鑑定評価など必要な手続きを進めていく」との状況を説明した。
提供:建通新聞社