甲賀市は、貴生川駅周辺地域の人口流出を留め、周辺地域を牽引する市特別エリアとするために継続して予算を投じ重点的に各種施策を講じていくビッグプロジェクト「貴生川駅周辺整備事業」を計画しており、魅力ある地域づくりの一環として、官民連携の交流拠点施設の整備を行う考えであることが明らかになった。
現在、既に発注済みの「貴生川駅南口エリアデザイン作成業務(担当=サンワコン)」内で、交流拠点施設整備に係る土木施設の配置や建築施設の想定面積・各階配置イメージの立案等に着手しており、今年度中に取りまとめ、来年度から事業化に向け、庁内精査及び地元協議をメインに本格検討を開始していく。
また、同業務はこの他、民間事業者サウンディングの支援(対象事業者の選定及び連絡調整)や、補助事業メニュー選定及び公民連携スキームの検討、事業手法・事業スキームに基づく事業計画と年次資金計画の立案等も行う。これらの中間報告を取りまとめ12月頃に公表、パブリックコメントを募集し市民の声を反映していく。
同事業の計画期間は、およそ20年程度を想定している。対象地は、市立地適正化計画に定める貴生川駅を中心として半径800b範囲を基本とし、人口規模・道路網・都市機能の不足等の課題への必要施策を抽出する。その後、関係課に役割分担させ、調査・設計・工事費などに係る各種事業費の予算措置や整備手法の模索等を各部局進めていく見通しだ。ただし、整合性を図りより効果的な事業とすることが大前提にあることから、情報共有を密に行い事業を推進する。
事業推進にあたり、基本的な考え方として▽近畿圏の東の玄関口を創造する「ストーリー性」のある一体的な活用▽住民のニーズに合った「暮らしの拠点」機能の検討▽持続的な財政運営に繋げる「民間活力」の活用―の3つの柱を中心に、駅を中心とした周辺の開発誘導、リニア中央新幹線の開通を見据えた、必要な都市機能の明確化などを意識した上で各部局整備を行っていく。その際には、これまでの土地利用の「枠」にはめず、実現性を重視するための市場調査に基づく「現実的なプラン」となるよう進めていく。
また、公共施設整備については、現段階で具体案は固まってはいないが、住民ニーズにあった公共・民間機能を有する複合的な施設の建設についても今後の協議課題となっている。
同事業は、まちの利便性・暮らしの質感を高めることによって、地価を維持し固定資産税や法人税、住民税等の確保など、対象地の価値向上による税収の確保が図れることや、地域内の将来の公共投資を明らかにすることで、民間投資を呼び込むことが出来るだけでなく、JR草津線・信楽高原鐵道・近江鉄道―の3つの鉄道と、市内に張り巡らせたコミュニティバスの重要交通結節点である貴生川駅が魅力を高めることは、市全体の好循環を生み出す施策となると市は認識しており、事業完了後の生み出す効果は大きなものと期待している。
地勢特徴として北側に勾配が概ね10〜20%の虫生野山、南側に一級河川杣川がある。しかし、杣川の両岸において有事の際の浸水が想定される区域が多く、それらの解消も急いでいる。
市は、20年と長期にわたる同事業をより良いものとなるよう市民や議会、地域と将来像を共有するための合意形成が最も重要と捉えており、時間を要する案件については、腰を据えて市民と向き合い、最良の方向性を打ち出していく方針だ。
提供:滋賀産業新聞