18日に開かれた金沢市議会まちづくりにおける公共施設再整備等に関する特別委員会。参考人として招かれた金沢大学の西野辰哉准教授(理工研究域地球社会基盤学系)が「これからの金沢の公共施設の考え方」と題して講演した。西野氏は、都心軸の一等地として今後の活用法に注目が集まる香林坊の日銀金沢支店跡地について、「市中心部を活性化する可能性がとても大きい」と指摘し、人が日常的に滞在する機能を有した図書館や大学のサテライトキャンパスなどを提案した。
西野氏は同跡地が持つポテンシャルについて、「周辺の片町や長町、さらには竪町まで波及効果がある」と強調。活用例として、「人が日常的に滞在する機能を融合したプラットフォーム」と表現し、▽高齢社会のサードプレイス(図書館)▽大学サテライトキャンパス(リカレント教育、副業支援)▽第4次産業拠点(起業支援)▽ワーケーション用のシェアオフィス▽子育て支援▽文化芸術発信(21美分館)―を提案した。
第3の居場所を指すサードプレイスでは、図書館やイベントスペース、ギャラリー、スタジオなどの複合施設「仙台メディアテーク」、図書館とガラス美術館、銀行からなる「富山キラリ」を好事例に挙げた。海外起業家があらゆる物に効率的にアクセスできる共有スペースで会社を立ち上げている実情なども紹介し、金沢市では旧野町小学校跡地で整備を進めている「価値創造拠点」が試金石になるとした。
今後の進め方については、「専門家や市民を巻き込んだ議論の場を設ける必要がある」と語り、まずは同跡地に対する市のスタンスを示すことが重要と指摘。中身などの方向性、土地取得や建設費、PFIなどの事業方式、例えば産学官連携などの運営方式を議論していく中で、担い手となる市民の育成も進んでいくとした。
西野氏はこのほか、建て替えに向けて検討作業が進められている金沢歌劇座について、市文化ホールや県立音楽堂、北電本多の森ホールと規模のすみ分けはある程度できているとする一方、立地場所に関し「やや交通が不便」と指摘。「向かい側の県立図書館跡地を見晴らしの良い駐車場にすれば面白い」との考えも表した。