横浜市は市立大学の医学部と付属2病院(金沢区、南区)を、米軍・根岸住宅地区跡地(中区・南区・磯子区、面積約43f)を最有力候補地に再整備するとの基本構想案をまとめた。大学病院機能を1000床程度の1病院に集約し、診療・教育・研究機能が一体となった新施設を建設する方針だ。2020年度末に基本構想を確定させて、21年度から10〜15年程度で基本計画の検討・策定、設計、工事を順次進める予定でいる。
市大付属2病院は金沢区福浦の付属病院(674床、医学部を含め総延べ床面積約11万3000平方b)と、南区浦舟町の付属市民総合医療センター(726床、総延べ床面積約8万3000平方b)で合計1400床。医学部の定員増に伴う施設の狭隘(きょうあい)化や建物・設備の老朽化、診療圏の競合、同規模2病院体制による設備投資の重複といった課題を解決するため、市大が19年度に大学病院機能を1病院に集約して1000床程度とする再整備の方向性を整理した。
これを受けて市も市長付属機関で再整備を検討。19年11月に「制約がない第三の地に十分な面積を確保して整備するのが理想的」などとする意見書を得ていた。
今回の基本構想案では、再整備に関して▽大学病院としての機能を1病院に集約▽新病院の病床数は1000床程度を基本▽診療・教育・研究機能を一体として整備―の三つの方向性を提示。その上で、1000床規模の大学病院と1500人規模の学生を有する医学部などの関連施設の一体的整備が可能な広さ、将来の医療需要と市全域からのアクセス性、災害に強い土地であることの必要性などを挙げて、米軍・根岸住宅地区跡地を最有力候補地に具体的な検討を進めるとした。
また、現在の付属2病院は再整備が完了するまで運営を継続。再整備後の2病院の跡地には近隣エリアに将来求められる医療・福祉ニーズなどを踏まえながら、必要な機能を確保すとしている。 21年度以降に検討・策定する基本計画の中で、事業手法や事業費、具体的な機能、施設規模、今の2病院の跡利用、事業スケジュールなどを明らかにする。特に事業手法と事業費は工期短縮や経費削減、多様な財源確保を目指して多角的に研究していく。
市では10月30日から今回の基本構想案と米軍・根岸住宅地区の跡地利用基本計画案に対する市民意見を募集する予定だ。
提供:建通新聞社