香川県農政水産部は、農業用ため池の管理・保全に関する法律(ため池管理保全法)に基づき、高松市や丸亀市、坂出市など14市町にある181カ所を「特定農業用ため池」の第一弾として指定した。決壊時に周辺の家屋や公共施設に浸水被害を及ぼす恐れがあるため、所有者などが堤体の掘削や竹木の植栽などを行う場合、県の許可が必要になる。所有者不明で適正に管理されなくなる恐れのある施設については、県の裁定後、市町が施設管理権を取得し、ため池の維持管理対策を実施できるようになる。県では本年度中に全ての「防災重点ため池」の浸水状況を検証し、今後2回に分けて指定の追加を行う考えだ。
ため池管理保全法に該当する県内の民有ため池は6312カ所で、このうち決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設などが存在し、人的被害を与える可能性がある「防災重点ため池」は1232カ所ある。
これらの浸水状況を市町が検証し、それを基に▽決壊による浸水想定区域のうち水平距離が100b未満の区域に住宅などがある▽貯水容量1000立方b以上で、浸水区域のうち水平距離が500b未満の区域に住宅などがある▽貯水容量5000立方以上で浸水区域に住宅などがある―などの要件に該当するため池を「特定農業用ため池」として指定した。
指定されたのは▽高松市の青木池や高橋池など30カ所▽丸亀市の山之池や江ノ浦池など20カ所▽坂出市の大正池や小原清池など34カ所▽さぬき市の鮎帰新池や野丹谷新池など19カ所▽東かがわ市の宗極池と西の谷池の2カ所▽三豊市の奥池や源宗寺池など21カ所▽土庄町の坪井池や笠ケ滝大池など5カ所▽小豆島町の前林池や大谷上池など10カ所▽三木町の植田池やろんたん池など24カ所▽直島町の鍛治屋2号池▽宇多津町の高畑池や細川池など4カ所▽綾川町の谷岡池と三角池の2カ所▽多度津町の吸水池やさぎ谷池など5カ所▽まんのう町の新池や山崎池など4カ所―の計181カ所。
いずれも「堤体の掘削、竹木の植栽などの行為に対する県の許可」「防災工事計画の県への届け出」が必要となり、市町による所有者不明ため池の管理が可能になる。
提供:建通新聞社