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建通新聞社(東京)
2020/09/10

都と国交省 高台まちづくりでモデル地区

 東京都と国土交通省が設置した「災害に強い首都『東京』の形成に向けた連絡会議」は、9月9日に開いた会合で「災害に強い首都『東京』形成ビジョン(仮称)」の中間まとめ案を発表した。水害対策では、治水施設の整備を推進するとともに、まちづくりと高規格堤防の整備を一体的に行う「高台まちづくり」を推進する。今後、モデル地区を設定して高台まちづくりを実践するとともに、具体的な取り組み方策の見直し・改善につなげる。地震対策に関しては、無接道敷地の解消による不燃化建て替えや、防災生活道路の整備、延焼遮断帯の形成、空地の確保などを促す。パブリックコメントを経て2020年内にビジョンを策定する。
 中間案では、水害と地震の二つの側面から、これまでに実施してきた対策と課題を確認し、今後の検討の方向を示した。
 治水施設の整備については、気候変動による降水量や洪水水量の増大、洪水の発生頻度の増加に対応するため、治水施設の整備を加速する必要があると指摘。地震によって堤防が崩落するなどの災害が起きないよう、耐震化も図る。
 一方、治水施設の能力には限界があり、ゼロメートル地帯で堤防が決壊すれば、広範囲で長時間にわたって浸水が発生する。
 このため、緊急的な避難高台にもなる高規格堤防の整備や公園の高台化を推進する。加えて、建物内に避難スペースや震災発生時でも社会経済活動を一定程度継続できるスペースを確保することで、高台と建物群が連携した「高台まちづくり」を目指す。
 高台まちづくりの実践に当たっては、効率的に推進するための組織・人員の在り方を探る。また、地元の意向などを踏まえてモデル地区を設定して課題を抽出することで、高台まちづくりを促すための具体的な方策につなげたい考え。
 このほか高台まちづくりを誘導するための民間開発を制度・資金面から支援する体制も整える。住み替えが必要な住民の負担軽減や、意識啓発・理解促進に向けた対策も検討する。
 地震対策では、住宅の不燃化・耐震化、防災生活道路の整備、延焼遮断帯の形成、空地の確保が進んだ市街地の形成を目標にする。木造住宅密集地域の防災性向上に併せて、魅力的な市街地の形成を図る。

提供:建通新聞社