高知県は南海トラフ地震対策推進本部会議で、県と沿岸市町村が取り組んでいる高台移転の状況について、浸水区域内にある施設数やこれまでの実績、今後の課題や対策などの情報を各部局で共有した。このうち警察施設では、宿毛署と室戸署の移転を予定している他、香南庁舎と清水庁舎も移転のための適地を検討していると報告した。
県内警察署・警察庁舎のうちL2津波浸水域にあるのは8庁舎。うち高知署の新築移転工事が現在進んでおり、宿毛署は市役所庁舎や土木事務所などとともに小深浦地区の高台への移転が決まっている。当面高台に移転する予定がない高知南署と安芸署も津波による甚大な被害を受ける可能性があり、将来的な移転整備を検討する必要があるとした。交番や派出所なども41施設が津波浸水域にあり、立地場所や高台移転の是非などを総合的に判断するという。
県立学校では、安芸中・高校と安芸桜ケ丘高校を統合し、安芸桜ケ丘高校の敷地に建設する東部地域拠点校の施設整備と清水高校の高台移転を実施する。両校とも設計の中で基礎の追加工事が必要となることなどが明らかとなり、スケジュールが遅れ気味であるとの報告があった。
幼稚園や保育園では、移転の意向を示した38施設のうち19施設がすでに完了、第4次行動計画内の21年度末までに29施設の移転完了を見込んでいる。その中で、移転を希望しているが適地が見つからず着工予定が未定であることや基金が不足していることなどが課題として挙がった。
社会福祉施設では、19年度に安全な避難が特に困難と思われる12施設を洗い出しており、最優先で移転を働き掛ける。
沿岸市町村の取り組みでは、室戸市が市役所本庁舎について、耐震性がないと判定されたことから、移転を含めた検討を行う。田野町では防災拠点施設と認定こども園を20〜21年度に建設する。安芸市では市役所本庁舎と統合中学校の23年度移転を目指し、今後工事発注する。香南市では、夜須支所と夜須地区の認定こども園、夜須第1分団屯所の移転を計画。南国市では十市と前浜の屯所を建て替える際に高台移転を検討する。高知市では上下水道局本庁舎を針木浄水場北側用地に移転するため、9月補正予算で設計費を計上する。
土佐市では宇佐消防分署と宇佐保育園を24年度以降に移転予定。須崎市では病院と住宅団地の移転を計画している。中土佐町では、庁舎、消防施設、保育所の建設が進んでいる。黒潮町では町営住宅2団地の高台移転を建設中。宿毛市では、小深浦の高台に市庁舎と統合保育園を20年度中に発注し、威陽小、大島小、片島中の高台移転も検討している。
提供:建通新聞社