富山県立高岡工芸高等学校建築科同窓会(会長・大野博和大野建築設計事務所所長)が主催の「第8回 工芸建築科同窓会・作品展」が、6日から高岡市の青井記念館美術館で始まった。入館無料。開催は26日までの10時から16時。毎週月曜日が休館日となる。
今回初の試みして、平成の大修理が行われた勝興寺で、長年保存修理工事の棟梁を務めた田中健太郎氏(田中工匠代表)が「木工具の発達史」と題し出品。自身が所有する大工道具・鋸(のこぎり)を展示している。
同校建築科は今年で67年の歴史を刻み、卒業生も2621名を超え、建築界を中心に全国で活躍中。作品展は、建築技術の後継者不足や建築を目指す若い人が減っている現状の改善に貢献できればとの思いからスタート。同窓会会員の連携・親睦を深めるとともに、建築技術者育成の大切さ、建築の魅力を広く知ってもらおうと、同窓生の成果を一堂に展示している。
会場には、卒業生が設計や施工を手掛けた公共施設や店舗、個人住宅などの建築作品パネルや今春卒業した学生の卒業設計、在校生が参加したコンペの入選・入賞作品などを紹介。特別出展として、上原雄史富山大学芸術文化学部教授の作品も展示している。
初日のオープンに合わせて会場を訪れた田中棟梁は、「勝興寺の修理工事前から工芸高校との交流があり、同校卒業生の10人ぐらいを弟子入りさせた縁もある。大工道具を出品したのは今回が初。道具の詳しい歴史は、ほとんどの人が分からない。千点以上の道具を所有しているが、今回はのこぎりに絞った。教科書でしか見れないものばかりであり、歴史が分かるように選んだ。生徒をはじめ、歴史があって道具が発達してきたこと広く知ってもらうため、ぜひ現物を見てほしい」との思いを語った。
また、建築科同窓会の大野会長は「毎年作品展を開いており、再来年は10周年の記念事業を計画中。田中棟梁の道具は宝であり、とても価値がある。同窓会、工芸高校全体として保管、常設展示を実現し、高岡と富山県全体の建築業界の活性化につなげたい」との抱負を述べている。