徳島市が飯谷町枇杷ノ久保地区で周辺5市町と計画している一般廃棄物中間処理施設の広域整備について「市重要課題等に係る外部評価委員会」は、市に財政面の課題や土砂災害等の危険性などがあるとして「現候補地でそのまま進めていくのは困難」などとし、候補地選定段階からのやり直しを求めた。
委員会に市は、建設候補地の選定(建設候補地の抽出〜評価・選定)、市民会議における現候補地の土砂災害対応に関する議論、一般廃棄物中間処理施設の広域整備に関する課題を資料として提出。候補地選定に当たっては、立地規制や土砂災害警戒区域など施設立地が望ましくない地域を除外しながら進め、現候補地選定の際は土砂災害警戒区域を除外し決定したとしたが、その後進入路を含む周辺地が土砂災害警戒区域に指定されており、警戒区域を除外した段階まで戻すべきとする委員もいた。
また、市が挙げた課題は▽現候補地の用地が購入できていない▽施設の排水▽焼却灰の再資源化▽搬入出ルートの整備▽中継施設の設置▽事業全体の費用が見込めていない−など計15項目。今後事業進捗の段階を踏む中で検討・対応していくものもあるが、解決に必要な市の対応の中には先行き不透明なものも少なからずあり、この点も委員から指摘を受けた。
特に事業費については、基本計画で示した建設費444・6億円以外に用地の取得や電力・水道の引き込み、周辺の環境整備等の費用は計上されておらず、現時点で不明とした他、現候補地が市中心部から離れていることから大型の車両に積み替えての搬入を考えた場合、積み替え設備を備えた中継施設の整備も必要になるなどの課題について、委員の質問に費用が今後数十億円膨らむ可能性を示唆している。
当日の評価委員会では、こうした膨らむ費用などの問題の他、候補地選定のプロセスも不適正と総括。「現候補地でそのまま進めていくのは困難」と結論付けた。市は対応を急ぎ協議する。事業は現在、関係市町で構成する連絡会議の了承も受けて実施計画の策定や環境影響評価などの作業を全て中断している。
提供:建通新聞社