東京都は、ダンピング対策を目的に工事の総合評価方式を一部改定する。失格基準価格を調査基準価格と同額に設定している現行制度を見直し、調査基準価格に代わる「基準価格」を設ける。基準価格を下回っても失格とはしないが、価格点を徐々に減らす。また、基準価格を下回る「特別基準価格」を設定し、これより低い金額での入札は、価格点を0点にする。知事部局の発注案件のうち、施工能力審査型、技術実績評価型、技術力評価型の総合評価方式に適用。2021年1月1日以降に公告する案件から施行する。
都の現行制度では、受発注者の事務負担などを考慮し、予定価格が建築工事4・4億円、土木工事3・5億円、設備工事2・5億円未満の工事は失格基準価格を調査基準価格と同額に設定している。
ただ、この場合、技術点が高い入札者でも、入札価格が失格基準価格を1円でも下回れば即失格となる。価格と技術力を総合的に評価するという総合評価方式の趣旨が十分に生かされていない現状がある。
そこで、ダンピング対策に十分配慮しつつ、総合評価の趣旨が、より発揮できる制度に改める。
現在の調査基準価格に代わる「基準価格」を、現行の調査基準価格算定を準用して設定。入札価格がこの基準価格を下回っても即失格とはしないが、一方で「履行の確実性が損なわれる可能性がある」と判断し、価格点が減っていくようにする。
さらに、基準価格を下回る「特別基準価格」を、国土交通省が特別重点調査で使用する価格算定式を準用して設定。これを下回る入札価格の場合は価格点を0点にする。
今回の改定では、入札価格が基準価格を下回ると価格点での優位性がなくなるように変更した。意図的な低入札を抑制して現状と同等のダンピング対策を維持しつつ、価格と技術力が総合的に優れた入札者が落札できるようになる。
都が工事発注で導入している総合評価方式は4タイプあり、このうち、改定の対象となるのは施工能力審査型と技術実績評価型、技術力評価型の三つ。技術提案型については改定対象に含まず、低入札価格調査制度の適用を続ける。知事部局の発注案件が対象となるが、公営企業3局でも、今回の内容を基に改定を検討しているという。
総合評価方式を適用しない価格競争の入札では、現行制度のまま、入札価格調査制度または最低制限価格制度の適用を継続する。
提供:建通新聞社