高知県安芸土木事務所は、2018年7月の豪雨災害により甚大な被害が発生した安芸市栃ノ木地区で、大規模特定河川事業を適用し、護岸の改修や橋梁の架け替え、県道の付け替えなどを進める。これらの工事に関連し設計を順次委託しており、21年度以降用地取得に着手、早期の工事発注を目指す。
安芸川と尾川川の合流点付近での護岸詳細設計を、いであ四国支店(高知市)に委託した。尾川川は安芸川との合流点近くで直角になっており、河川氾濫の原因の一つとなった。そのため、直角となっている箇所をショートカットし、スムーズな合流ができるよう線形を改良する。
今回の委託では、尾川川両岸の延長480b、安芸川右岸の延長100b、両河川合流部の少し上流側にある支川の両岸延長100bと片岸延長100bを対象に、法線などの見直し検討や護岸の配置計画、構造物との取り付け検討など基本事項を決定した上で、本体や付帯施設の設計を進め、施工計画をまとめる。期間は21年3月17日まで。21年度以降用地取得に入り、工事発注に備える。
栃ノ木橋の架け替えに向けた予備設計と取り付け部の県道の詳細設計もいであ四国支店に委託した。期間は21年3月17日まで。既存の橋梁は1937年架設で、橋長67・3bだが、5径間で橋脚の間隔が狭く流下を阻害しているため、下流部に新たな橋梁を架設する。現段階では、橋長133b、全幅6・5bの2車線とし、4径間の橋梁を想定、予備設計の中で形式比較案を選定し、概算工事費を算出する。併せて安芸川右岸側にある県道安芸物部線で、橋梁架け替えに伴う取り付け道路の改修を延長250bにわたって進める。これらの工事は、他の河川改修の進捗を見ながら着手する。
安芸川左岸側の護岸と県道の付け替えに向けた詳細設計は構営技術コンサルタント(高知市)に委託。期間は21年3月17日まで。護岸詳細設計現状パラペット型となっている左岸側の堤防を改修し、堤防上に県道畑山栃ノ木線のバイパス道路を新設する。
現段階では改修方法として、河道の幅を広くして堤防高を既存より70〜80a高くする案と河道の拡幅をできる限り少なくする一方、堤防高を既存より2b以上高くする案がある。地元住民と意見を調整しながら最終的な方法を決めていく。21年度以降に用地を取得し、早期の工事発注を目指す。
安芸市の栃ノ木地区では、2年前の7月豪雨により安芸川が氾濫し、左岸側の集落で軒下浸水3戸、床上浸水19戸、床下浸水3戸の被害が発生した。また右岸側の県道では路側が欠損した。そのため県では、国が西日本豪雨をきっかけに19年度に創設した大規模特定河川事業を適用し、10年間で河川改修を進め、再度災害防止につなげる考え。
提供:建通新聞社